2002 Fiscal Year Annual Research Report
都市道路排水中有害物質の生物利用可能性の視点にたつ曝露評価系の構築
Project/Area Number |
14350289
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小野 芳朗 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (50152541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 長美 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (90093228)
谷口 守 岡山大学, 環境理工学部, 教授 (00212043)
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Keywords | 道路塵埃 / アスファルト舗装 / 多環芳香族炭化水素類 |
Research Abstract |
今日、我が国の都市道路路面はアスファルトにより舗装されている。また、道路表面にはタイヤ屑や、タイヤによるアスファルトの磨耗物が堆積している。さらに、近年増加し続けている自動車交通量からそれに伴う排気ガスに含まれる有害物質の道路堆積物への汚染が懸念されている。本研究では、道路塵挨、アスファルトに起因する多環芳香族炭化水素類PAHsに着目している。今年度は、PAHsのアスファルト道路表面中における収支の確認を行った。まず、アスファルト道路路面に含まれるPAHsの含有量の測定を行った。その結果、道路塵挨、アスファルト中にそれぞれ1360ng/g、1106ng/gのPAHsが確認された。また、道路路面上のPAHsの太陽光紫外線による影響を評価するために紫外線分解試験を行った。結果、アスファルトは紫外線による影響がほとんど確認されなかった一方、道路塵挨はPAHs含有量の約3割が減少していることが確認された。このことから、道路塵挨の表面に付着するPAHsは紫外線による分解が生じるが、アスファルト中のPAHsは内部に保存されているものと推察される。さらに雨水によるPAHsの道路排水への溶出を確認するために、PAHsの溶出試験を行った。結果、アスファルト、道路塵挨に含まれるPAHsの水媒体への溶出量は含有量に対して0.1〜1%程度であるという結果が得られた。また、溶出するPAHsは水溶解度の高いBenzophenoneのような物質に限られるものと推察された。上記の試験結果から、モデル道路環境設定し道路表面中のPAHsの収支確認を行った。その結果、PAHsの約99%がアスファルト中に含まれているという推計結果が得られた。そして、含有するPAHsの数%が大気中へと揮発また道路排水へ溶出しているという結果が得られた。
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