2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14350316
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
井上 勝夫 日本大学, 理工学部, 教授 (30102429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 寛和 独立法人建築研究所, 環境研究グループ, 上席研究員
冨田 隆太 日本大学, 理工学部, 教授 (40339255)
橋本 修 日本大学, 理工学部, 講師 (00218405)
吉村 純一 財団法人小林理学研究所, 建築音響第2研究室, 室長(研究職) (00142050)
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Keywords | 性能表示 / 音環境 / 遮音性能 / 共同住宅 / 生活実感 / 床衝撃系騒音 / 性能表現 / 固体音 |
Research Abstract |
共同住宅の遮音性能と居住者の生活実感を対応付け、物理的性能を判りやすく表現して消費者にアナウンスすることができれば、居住前に対象住戸の性能を理解し、居住後の音環境に関するトラブルや紛争を減少させることができる。本研究では、先ず、居住前の消費者による正確な要求を明らかにするため、マンション・住宅のモデルルームを訪れた住宅購入予定者(約500人)を対象にアンケート調査を実施し、有効票350票余りの貴重なデータを収集した。次に、入居後2年以上経過した共同住宅を対象に、建物を性能別に2種類(最もクレームの多い床衝撃音遮断性能を判断基準とし、L-60、L-50の2種類)に分け、調査対象住棟(戸数が300世帯以上となる共同住宅)を選定し、直接面接方式によるアンケート調査及び床衝撃音遮断性能実験を行い、物理的性能及び音響性能に関する居住者反応(有効データ150票余り)を得た。なお、本年度の調査は、性能ランクにはっきりした変化のある2段階とし、居住者の反応変化の違いを明確に把握することとした。また、対象とした共同住宅は地域性及び調査への協力体制から東京近郊と地方(高松市)で行った。 購入予定者アンケートの結果では、購入希望住宅の空間性能として遮音性能に関する要求が98%と最も多く、次いで日照、空気汚染と続くことが判った。また音環境の中では、上階からの床衝撃系騒音に対する性能確保への要求が90%を超え、最も指摘の多い騒音源であることが明らかとなった。なお、消費者レベルでは、住宅購入予定者であっても、音環境に関する知識がかなり低いことも判った。居住者を対象とした調査結果では、住居の遮音性能変化により、音環境に関する指摘に明確な差があることが判ったが、重要な床衝撃系騒音に関しては、上階住戸に住む世帯の家族構成(子供の有無)が重要なパラメータであることも明らかとなった。遮音性能に関する居住者の表現方法については、「擬声語を用いた表現」、「形容詞による表現」など、多くの種類の回答を得ることができ、性能を感覚的に表現する手がかりを得ることができた。
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