2002 Fiscal Year Annual Research Report
極短パルス光を用いた界面低振動領域分光法の開発とその応用
Project/Area Number |
14350442
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 嗣郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90011105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 泰弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教務職員
片山 建二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (00313007)
藤浪 眞紀 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50311436)
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Keywords | 界面 / 極短パルス / 低波数振動 / コヒーレント振動 / 第二高調波発生法 / 過渡格子 / 分子間相互作用 / 誘導ラマン |
Research Abstract |
本研究では極短パルス光のもつエネルギー幅を用いることで、液体界面の低波数振動(0-1000cm^<-1>)スペクトルを測定可能な計測手法を開発することが目的である。特に本手法では、本手法では時間分解第二高調波発生(SHG)法と組み合わせることで、非線形感受率x^<(2)>の変化を検出し、コヒーレント振動による周期的な変化(ビート信号)をフーリエ変換することで低波数振動スペクトルを界面選択的に測定する界面選択性を持っていることが特徴である。初年度にあたる今年度は装置の開発・問題点の把握・改良に取り組んだ。 まず、通常の時間分解SHG法の工学配置で装置を組み、性能評価を目的として石英、金薄膜などの固/気界面およびクマリン314をはじめとするいくつかの色素水溶液の気/液界面を試料として用いた。まず、通常の時間分解SHG測定と同様の光学配置で測定を行ったところ、コヒーレント振動によるχ^<(2)>の変化はχ^<(2)>の絶対値に比べて小さく(=S/B比が低く)、特に空気/色素水溶液界面ではx^<(2)>の変化を検出することが困難であった。 そこで、この困難を克服するため、過渡格子光学配置での測定を試みた。過渡格子配置では励起光を2つに分けて交差入射し、試料を干渉縞状に励起する。その結果、コヒーレント振動によるχ^<(2)>の変化は周期的な空間分布をもち、通常のSH光(k_<SH>=k_<probe>+k_<probe>)とビート信号(k_<signal>=-k_<pump>+k_<pump>+k_<probe>+k_<probe>)を空間的に分離することができる。過渡格子配置による測定を行った結果、S/B比の大幅な改善がみられ、気/液界面においてもχ^<(2)>の過渡変化を検出することができた。この改良によって、界面低振動数スペクトルが検出できるめどがたった。
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