2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体繊維を利用した再生型人工臓器に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14350495
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
阿部 康次 信州大学, 繊維学部, 教授 (00126658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 克典 信州大学, 医学部, 教授 (30170666)
藤井 敏弘 信州大学, 繊維学部, 教授 (50126702)
平井 利博 信州大学, 繊維学部, 教授 (30126700)
松田 尚樹 長崎大学, アイソトープ総合センター, 助教授 (00304973)
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Keywords | 再生医療 / 人工臓器 / 生体繊維 / 細胞外マトリックス / 胚性幹細胞 / ストレス応答 / 高分子電解質錯体 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
繊維状天然高分子である多糖類を化学修飾し、荷電基を導入することでポリカチオンとポリアニオンの合成を行った。このポリアニオンとポリカチオンを混合することにより、様々な物性を有する高分子電解質錯体(PEC)を形成することができる。PEC上で骨芽細胞を培養すると、硫酸基を有する多糖からなるPEC(SPEC)上では細胞は対照であるTCD上の細胞と同じように活発に増殖した。これに比べ、カルボキシル基を有する多糖からなるPEC(CPEC)上では骨芽細胞は凝集塊を形成しながらゆっくり増殖した。骨系細胞の分化マーカーであるALPase活性、カルシウム沈着などを検討したところ、CPEC上、特に凝集塊周辺部で活性が上昇していることが確認された。また、最終分化段階の分子マーカーであるオステオカルシンのmRNAをRT-PCR法により測定したところPEC上でのみ発現が観測され,骨芽細胞が石灰化期に誘導されていることが示された。光反応によりアニオン性多糖類を単独でコーティングした基材との細胞挙動を検討することにより、アニオン性多糖類の官能基がこの分化制御の主因ということが明らかになった。また、PECをスポンジ化しラットの大腿骨欠損部に移植したところ、多糖系PECを移植した方が骨の再生が促進した。このように天然繊維である多糖類から形成されるPECは、細胞の機能をある程度制御できる優れた培養素材になる可能性が示された。 生体が作り出すマクロな繊維である毛髪、羊毛などからその主成分であるケラチンを効率的に抽出し、フィルム状に成型する方法を確立した。ケラチンフィルムを用い皮膚由来繊維芽細胞を培養したところ、細胞は良好に増殖していくことが明らかになった。今後さらにケラチンフィルムの成型性、形状を改良し、また、表皮角化細胞との相互作用を検討することにより人工皮膚材料としての応用性について検討を加えていく。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakamura, A.: "A rapid extraction procedure of human hair proteins and identification of phosphorylated species"Biol. Pharm. Bull.. 25(5). 569-572 (2002)
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[Publications] 藤井 敏弘: "セルフメディケーションに向けたヒト毛髪蛋白質フィルムの創製と販売"BIO INDUSTRY. 19(12). 5-10 (2002)
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[Publications] Okamura S.: "The formation of the bio-pulsatile vasucular pump by cardiomyocyte transplants circumvallanting the abdominal aorta"Tissue Eng.. 8. 201-211 (2002)