2004 Fiscal Year Annual Research Report
ティーおよびチャイナ系栽培バラの香気成分とその生合成遺伝子による遺伝資源解析
Project/Area Number |
14360016
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上田 善弘 千葉大学, 環境健康都市園芸フィールド科学教育研究センター, 助教授 (40143268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓬田 勝之 (株)資生堂リサーチセンター, 製品開発本部・香料開発室, 参与
渡辺 修治 静岡大学, 農学部, 教授 (90230979)
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Keywords | バラ / 香気成分 / 遺伝資源 / 系統解析 / ヘッドスペースGC分析 |
Research Abstract |
昨年度に継続し、中国系栽培・野生バラにつき、新たな品種を加えるとともに一部を再分析し、全体を総合的に解析した。得られたデータをもとに、主成分分析を行い、香気成分からみた系統解析を行った。 その結果、中国西南部を自生とする野生種、Rosa chinensis var.spontaneaは供試材料中、中国系バラの指標香気成分の一つ、1,3,5-trimethoxybenzene (TMB)を最も多く発散し、中国系バラの基本種であることが確認された。R.chinensis var.mutabilisとR.chinensis var.semperflorensはβ-phenylethyl alcoholを発散したため、本成分を主要香気成分とし、分布域を同じくするR.multiflora var.cathayensisがその成立に関わっている可能性が考えられた。 中国系栽培バラは、上記TMBとR. giganteaの主要香気成分1,3-dimethoxy-5-methylbenzene(DMMB)のそれぞれの有無により4タイプに分けられた。この中には、チャイナローズに区分されながらこれらの両香気成分を全く発散しない数品種があり、これらの品種については来歴に問題があると思われた。 続いて、葉および花器の各器官におけるTMBとDMMBの前駆物質の含有量を調べたところ、供試した中国系の種と品種のほとんどで、葉にTMBの前駆物質のPhloroglucinol (PLG)とDMMBの前駆物質のOrcinol (ORC)を含んでいた。DMMBを発散しない種および品種も葉に前駆物質ORCを含有していたため、前駆物質を合成する能力はDMMBを発散するかどうかに関係しないことが分かった。花弁では、TMBとDMMBの含有量とそれらの前駆物質含有量が高まり、葉から花器官に発達する過程で、前駆物質の合成が刺激されると同時に前駆物質から香気成分への生合成経路における酵素活性が高まり、合成が促進されるものと思われた。DMMBを発散しない種または品種でも微量ながら前駆物質を花弁に含有しているものがあり、これは前駆物質を合成する能力はあるものの、特別促進する仕組みがないものと思われた。また、萼ではTMBおよびDMMB合成の酵素活性がないか低いことが報告されているが、本実験では花弁と同水準の含有量を示し、報告にない未知の酵素の関与が示唆された。
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Research Products
(2 results)