2002 Fiscal Year Annual Research Report
運動による糖、脂質およびアミノ酸代謝改善効果のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
14370022
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30162738)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小竹 克博 愛知医科大学, 医学部, 助手 (50351101)
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10252305)
|
Keywords | pyruvate dehydrogenase complex / OLETFラット / 自然発症糖尿病 / グルコース代謝 / インスリン抵抗性 / 血清遊離脂肪酸 / LETOラット |
Research Abstract |
グルコース代謝の調節酵素であるpyruvate dehydrogenase complex(PDC)活性は、糖尿病により骨格筋や心筋などで低下することが知られており、これが糖尿病によるグルコース代謝低下の一因と考えられている。自然発症2型糖尿病モデル動物であるOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty(OLETF)ラットは、加齢とともに肥満が進行し、インスリン抵抗性を生ずることが知られている。そこで本研究では、OLETFラットのインスリン抵抗性発症と骨格筋PDC活性の関係について検討した。【方法】対象は雄性OLETFラット(12匹)であり、対照群にはLong-Evans Tokushima Otsuka(LETO)ラット(12匹)を用いた。ラットは8週齢および25週齢で屠殺して血液と骨格筋を採取した。採取した血液より血糖濃度、血漿インスリン濃度と遊離脂肪酸濃度を測定した。採取した骨格筋より分光学的方法を用いて活性型PDC活性とPDC総活性を測定した。【結果および考察】1)8週齢の血糖濃度では、LETOラットとOLETFラットの間に有意差を認めなかった。しかし、25週齢の血糖濃度は、OLETFラットではLETOラットよりも有意な高値であった。2)8週齢の血漿インスリン濃度では、LETOラットとOLETFラットの間に有意差を認めなかったが、25週齢の血漿インスリン濃度は、OLETFラットではLETOラットよりも有意に増大した。3)8および25週齢の遊離脂肪酸濃度は、OLETFラットではLETOラットよりも有意な高値を示した。4)8週齢のPDC総活性は、OLETFラットではLETOラットに比し有意な低値を示した。しかし、25週齢のPDC総活性では、LETOラットとOLETFラットの間に有意差を認めなかった。5)8および25週齢の活性型PDC活性は、LETOラットに比し、OLETFラットで有意な低値を示した。以上の結果より、OLETFラットにおける明らかなインスリン抵抗性は25週齢で確認された。一方、PDC活性の有意な低下は、インスリン抵抗性が認められない8週齢ですでに認められ、その状態は25週齢まで維持された。すなわち、活性型PDC量の低下はインスリン抵抗性に先行して進展するので、PDC活性の低下がインスリン抵抗性の発症と関係する可能性が示唆された。
|