2003 Fiscal Year Annual Research Report
運動による糖、脂質およびアミノ酸代謝改善効果のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
14370022
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (30162738)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 大 財団法人長寿科学振興財団, リサーチ・レジデント
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (10252305)
|
Keywords | 分岐鎖アミノ酸 / BCKDH複合体 / BCKDH kinase / クロフィブラート / PPARα / 急性肝炎 / 肝硬変 / ラット |
Research Abstract |
本年度の研究では、ラットを実験動物として用い、分岐鎖アミノ酸代謝の調節機構の基礎的メカニズム、および運動トレーニングにより促進される分岐鎖アミノ酸代謝のメカニズムを、分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH)複合体およびその酵素を調節するBCKDH kinaseの活性調節、および遺伝子発現のレベルで検討した。さらに、肝疾患は分岐鎖アミノ酸代謝に影響することが報告されているので、肝疾患モデルのラットにおける分岐鎖アミノ酸代謝の状態も検討した。分岐鎖アミノ酸代謝を律速する酵素BCKDH複合体活性は、抗高脂血症薬であるクロフィブラートの投与により、著しく活性化された。この活性化は、BCKDH kinaseの活性低下を伴い、またペルオキシソーム増殖剤応答性レセプターα(PPARα)の特異的リガンドであるWY-14643でも同様に誘発されることより、PPARαによるBCKDH kinase発現の抑制により達成されることが示唆された。一方、運動によるBCKDH複合体の活性化では、複合体に結合するkinaseの減少によりもたらされることが、免疫化学的研究より明らかとなった。また、肝疾患による分岐鎖アミノ酸代謝への影響の研究では、急性の肝炎では肝臓のBCKDH複合体量が著しく減少するので、血中の分岐鎖アミノ酸濃度の上昇を伴うが、一方慢性肝疾患(肝硬変)では、逆にBCKDH複合体の活性化がおこり、分岐鎖アミノ酸代謝が亢進することにより血中分岐鎖アミノ酸濃度の低下をもたらすことが明らかにされた。これらの所見は、慢性肝疾患では分岐鎖アミノ酸投与の治療が有効であるが、急性肝炎では投与すべきでない理由の基礎的所見となることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] R.Kobayashi, et al.: "Clofibric acid stimulates branched-chain amino acid catabolism by three mechanisms"Archives of Biochemistry and Biophysics. 407. 231-240 (2003)
-
[Publications] Y.Shimomura, et al.: "Effects of liver failure on the enzymes in the branched-chain amino acid catabolic pathway"Biochemical and Biophysical Research Communications. 313. 381-385 (2004)
-
[Publications] T.Honda, et al.: "Effects of liver failure on branched-chain α-keto acid dehydrogenase complex in rat liver and muscle : comparison between acute and chro"Journal of Hepatology. 40(In press). (2004)