2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370095
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杤久保 邦夫 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30079991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井坂 雅徳 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40336673)
谷口 暢 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00285199)
安田 陽子 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70080009)
大隈 邦夫 (財)化学及血清療法研究所, 第一製造部, 部長
後藤 紀久 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 室長 (10100108)
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Keywords | 組換えコレラ毒素Bサブユニット / 粘膜アジュバント / 経鼻投与 / 粘膜ワクチン / インフルエンザワクチン / 肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン |
Research Abstract |
現在、大部分のワクチンは皮下または筋肉内注射により接種されているが、それを経鼻または経口接種に切り換えることが可能か否かについて、ブレビス菌-ベクター系を使って作製した無毒の組換えコレラ毒素Bサブユニット(rCTB)を粘膜アジュバントとして、一連の研究を行ってきた。その結果、rCTBは同時に経鼻投与した破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、B型肝炎ワクチンなどに対してアジュバント活性を示し、それぞれのワクチンに特異的な血清IgG及び各粘膜部位でのIgA抗体を誘導した。また、得られた血清IgG抗体価は感染防御に十分な高い値を示した。今回は、近年問題になっている高齢者や乳幼児のインフルエンザや肺炎球菌感染症の予防を目的として、インフルエンザA型及びB型赤血球凝集素(HA)ワクチンとrCTB、肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン(PW)とrCTBをそれぞれマウスに経鼻投与し、抗原特異的血清抗体価(IgG, IgA)と各粘膜部位におけるIgA抗体価を調べた。 (1)インフルエンザHAワクチンとrCTBの混合物の経鼻投与 A型とB型、両者のHAに対する血清IgG及びIgA抗体は、ともにrCTBの有無に関わらず誘導され、rCTB存在下で高くなる傾向にあった。また、赤血球凝集阻止(HI)価もrCTB同時投与により有意に高くなると共に、個体差による変動が少なくなった。A型HAに特異的な粘膜IgA抗体価は鼻腔、肺、小腸、膣の各洗浄液と糞便で、B型HAに対しては鼻腔、肺、大腸、膣の各洗浄液で、それぞれrCTB存在下で高くなる傾向にあった。以上の結果から、rCTB同時投与により、血清HI抗体価が上昇して中和活性が高まること、鼻腔や肺の粘膜IgA抗体価が上昇して粘膜部位での感染防御ができる可能性が高いことが示された。従って、インフルエンザワクチンの経鼻接種においても、感染防御能を確実に賦与するためには、粘膜アジュバントが必要であると考えられた。 (2)肺炎球菌莢多糖体ワクチン(PW)とrCTBの混合物の経鼻投与 rCTBの有無に関わらず、血清中の抗PWIgM抗体価は初回免疫で最高値に達し、2回目以後の免疫でブースター効果は認められなかった。血清IgGおよびIgA抗体価はかなり低く、粘膜IgA抗体は全く検出されなかった。抗原が多糖体の場合、単にrCTBと混合して投与するだけではIgGやIgA抗体の誘導は難しく、両者を化学的に結合する必要があると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Miyashita M, Joh T, Watanabe K, Todoroki I, Seno K, Ohara H, Nomura T, Miyata M, Kasugai K, Tochikubo K, Itoh M, Nitta M: "Immune responses in mice to intranasal and intracutaneous administration of a DNA vaccine encoding Helicobacter pylori-catalase"Vaccine. Vol.20, No.17-18. 2336-2342 (2002)
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[Publications] Maeyama J, Isaka M, Yasuda Y, Matano K, Taniguchi T, Morokuma K, Ohkuma K, Tochikubo K, Goto N: "Effects of recombinant cholera toxin B subunit on IL-1β production by macrophages in vitro"Microbiology and Immunology. Vol.46,No.9. 593-599 (2002)
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[Publications] 谷口暢, 本田武司: "感染症の変貌とワクチン開発(総説:特集 最近のワクチン)"最新医学. 第57巻,第9号. 1889-1893 (2002)
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[Publications] Isaka M, Yasuda Y, Taniguchi T, Kozuka S, Matano K, Maeyama J, Morokuma K, Ohkuma K, Goto N, Tochikubo K: "Mucosal and systemic antibody responses against an acellular pertussis vaccine in mice after intranasal co-administration with recombinant cholera toxin B subunit as an adjuvant"Vaccine. Vol.21,No.11-12. 1165-1173 (2003)