2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本の臭素系難燃材汚染による環境及び人体負荷影響の解明
Project/Area Number |
14370148
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
太田 壮一 摂南大学, 薬学部, 助教授 (10213729)
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Keywords | 臭素系難燃剤 / 環境汚染 / 人体汚染 / 臭素化ダイオキシン / PBDD / PBDF / TBBPA / TBP |
Research Abstract |
初年度においては、現在、BFRsとして最も使用されている四集化ビスフェノールA(TBBPA:27,300トン;全BFRs需要量の47%)と、欧州を中心に問題視されているポリ集化ジフェニルエーテル(PBDEs)に着目し、約16年前より大阪湾及び大和川河口で毎年捕獲され、長期保存されていたスズキとボラ試料を用いて、上記両化合物の需要動向とその汚染実態との関係について検討を試みた。その結果、1986〜2000年までのPBDEsの需要動向とスズキとボラ可食部中に観察されたPBDEsの蓄積性には興味深い傾向が観察された。すなわち、1990年以前までは、低臭素化体の難燃剤であるTetra/PentaBDEsが使用されていたことより、両魚中に高濃度のPBDEs(3〜6臭素化体)が蓄積していたのに対して、1991年以降ではそれら低臭素化体が減少していることが観察された。一方、DeBDEの需要は90年をピークにその後徐々に減少しているものの、魚中に観察されたDeBDEの蓄積濃度は95年までほぼ横這いであった。このことから、我が国のPBDEsによる魚介類等の海洋生物試料の汚染は、90年までの低臭素化体汚染と91年以降の高臭素化体(DeBDE)汚染に分けることができると考察した。これは、1999年に大阪湾9カ所で採取した底質中のPBDEs汚染調査において、検出されたPBDEsの90%以上がDeBDEであったことからも支持された。TBBPAの需要量に関しては、調査初年度である1986年の需要量と比較して、2000年のそれは約2.7倍まで増加していたが、蓄積濃度に関しては、どの試料も比較的軽度な汚染であり、需要量の経年変動とは相関していなかった。これは、TBBPAが環境内及び生体内半減期が比較的短い化合物であることに帰因するものと推察された。
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