2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌制圧をめざした移植医療確立のための総合的研究
Project/Area Number |
14370389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中森 正二 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (70294080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 友朗 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90324772)
永野 浩昭 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10294050)
堂野 恵三 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60283769)
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Keywords | 肝細胞癌 / 肝移植 / 適応基準 / 移植後肝癌再発 / 移植後肝炎再発 / 補助療法 / 再発予防 / 癌細胞検出 |
Research Abstract |
平成15年度内に肝細胞癌5例に対して、生体部分肝移植を行った。全例術後2ケ月から10ケ月経過しているが、肝細胞癌の再発無く生存中である。5例中4例がこれまで肝細胞癌症例に対する肝移植の適応基準とされてきたミラノ分類の適応外症例であり、1例のみ適応内であった。ミラノ分類以外に新たな肝移植後の肝細胞癌再発予測の適応基準を探るため、全身に散布された肝細胞癌細胞が既に存在し、それが術後の再発の原因となり得るかの検討を行った。移植例全例から移植前に末梢血を採取し、Light CyclerTMを用いたReal Time PCR法によるAFPmRNA発現を指標とした遺伝子診断を行なった。その結果、1例が陽性であり、4例は陰性であった。また、術中の癌細胞の散布を予防する目的で行った術前治療として、1例は血管塞栓療法(TAE)を施行、1例にインターフェロン併用5-FU肝動注療法を行った。さらに、術中散布された癌細胞の生着を予防するために、4例に対して、移植手術時の無肝期に抗癌剤を全身静脈内投与した。抗癌剤として、1例にDoxorubicin15mgを、3例にEpirubicinをそれぞれ60mg、40mg、10mg投与した。抗癌剤投与による周術期の大きな合併症は認められなかった。 肝炎ウイルス感染肝癌移植例の肝生検材料を用いて網羅的遺伝子発現検索を行い、拒絶反応とウィルス肝炎の再発の病態の違いを解析する検討のために、肝癌切除の際に得られた肝組織よりの肝生検材料を用いて解析に必要とする質・量のmRNAを抽出可能か検討した結果、肝生検によって得られる僅かな試料でも網羅的遺伝子発現解析が可能であることを明らかにした。さらに、この研究を移植肝に進めるために、肝生検材料採取と網羅的遺伝子解析の実験計画書の審査を倫理委員会に申請した。
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