2003 Fiscal Year Annual Research Report
光を用いた胎児生化学情報の非侵襲的測定に関する研究
Project/Area Number |
14370529
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住本 和博 川崎看護短期大学, 教授 (30126817)
西口 富三 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30198452)
杉村 基 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30273189)
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Keywords | 近赤外線 / ヘモグロビン / 子宮筋 / 子宮収縮 / 酸素動態 |
Research Abstract |
子宮筋や胎盤の酸素動態は陣痛というストレスに大きく関与している。非侵襲的にこれが測定できれば、母児管理に新たな展開を望め、臨床的に極めて有用であると考えられるが、未だこの分野の報告は皆無といってよい。われわれは、過去に近赤外光を用いて胎児脳酸素動態をモニタリングした経験をも踏まえ、陣痛のストレスによる子宮内環境の酸素動態を非侵襲的に連続モニタリングする方法の開発に着手した。昨年度は腹壁の動きに対応できるセンサーの開発を行った。本年度は昨年作成したセンサーを用いて実際妊婦において子宮筋の酸素動態が検出できるかの検討を行った。 【方法】無作為に選択した産婦を対象とし、インフォームドコンセントが得られた14症例に母体腹壁下子宮筋を主体とする酸素動態のモニタリングを実施した。分娩室に入室後、胎児監視装置からの陣痛、胎児心拍数を同時にモニタリングしながら、われわれが開発したセンサを外乱光が入らないように母体腹壁に装着し、これを浜松ホトニクス社製赤外線分光測定装置(NIRO500)に接続し、oxyhaemoglobin (HbO2)、deoxyhaemoglobin (Hb)を連続記録した。これらの情報は日本光電社製データ解析装置(LEG1000)に同時格納し、母児の臨床データと比較検討した。 【結果】酸素動態を表すヘモグロビンのパターンは、おおむね以下の4種類に分類することができた。1)子宮収縮時、HbO2のみ上昇を認め、Hbは変化しないものは8例で、このようなパターンを呈した症例は全例正常分娩であった。2)子宮収縮時HbO2、Hbとも殆ど変化を認めないものは3例で、これらのパターンも全例正常分娩であった。3)子宮収縮時HbO2が減少しHbが増加するものは2例に見られ、遷延分娩となった。4)子宮収縮時HbO2、Hbの両者とも減少するものは1例に見られ、分娩が遷延するとともに心拍数パターンからfetal distressと考えられた。この症例では、胎児心拍の異常所見より早期に、HbO2、Hbの減少が認められた。 【結論】子宮筋層酸素動態モニタリング法は非侵襲でかつ簡便であり、新たな母児情報を提供し、母児管理に有用となることが示唆された。
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Research Products
(1 results)