2002 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障視神経障害に応答する内因性神経保護機構に基づく治療開発に関する研究
Project/Area Number |
14370561
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷原 秀信 熊本大学, 医学部, 教授 (60217148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 美紀子 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (10284770)
木村 章 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20284771)
平田 憲 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (60295144)
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Keywords | 緑内障 / 神経保護 |
Research Abstract |
緑内障性視神経障害の内在性神経保護機構の解明のため、本年度我々はラットでのN-Methyl-D-aspartate (NMDA)誘発網膜障害モデルを用い、神経保護因子として働く可能性のある内在性物質を検討した。まず多様な生理活性を持つInterleukin-6(IL-6)に着目した。硝子体内にNMDAを注入すると、網膜内層の障害生じることが知られている。IL-6およびその可溶型のレセプターであるsoluble Interleukin-6 Receptor(sIL-6R)を硝子体注入にて前投与し、その神経保護効果について検討した。評価は形態計測、TUNEL methodによるアポトーシスの検出、上丘標識による生存している網膜神経節細胞の計測を行った。NMDA注入後のgp130の発現についてwestern blotting解析した。形態計測、上丘標識の結果より、IL-6(5-500ng)単独、およびsIL-6R(2.5-250ng)単独の前投与では網膜内層の障害は抑制されなかったが、IL-6およびsIL-6Rの混合前投与にて障害が有意に抑制された。TUNEL法にてNMDA注入後に網膜内層でTUNEL陽性細胞が観察され、混合前投与にて陽性細胞の減少を認めたことより、神経保護効果によりアポトーシスを抑制している事が示唆された。western blottingではNMDA注入後gp130の発現上昇を認めた。以上よりIL-6,sIL-6R, gp130を介するシグナル伝達に神経保護効果に関与していることが強く示唆された。次に同様のモデルを用いて1ens epithelium-derived growth factor (LEDGF)について検討した。NMDA注入1-7日前にLEDGFを前投与し、形態計測での評価を行った。LEDGF(100ng)を2-4日前に前投与した群では有意に網膜障害が抑制されていた。また2日前に前投与した群ではLEDGF 10-1000ngの投与全てに神経保護効果を認め、上丘標識法でも同様の結果を得られた。TUNEL法よりLEDGF前投与によりTUNEL陽性細胞の減少を認め、アポトーシスを抑制することが示唆された。western blottingによりLEDGF注入後の網膜において、heat shock protein 25(Hsp25)およびαB-crystallinの発現が上昇しており48時間まで継続したことより、神経保護効果のメカニズムとしてこの2つの蛋白質(Hsp25、αB-crystallin)が深く関与していることが示唆された。本年度我々はIL-6およびLEGDFという内在性因子に対する解明を行った。今後このメカニズムの詳細を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Inomata Y, Hirata A, Yonemura N, Koga T, Kido N, Tanihara H: "Neuroprotective effects of interleukin-6 on NMDA-induced rat retinal damage"Biochem Biophys Res Commun. 302(2). 226-232 (2003)