2002 Fiscal Year Annual Research Report
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を応用した象牙質・歯髄複合体再生療法の開発
Project/Area Number |
14370617
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島袋 善夫 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50231361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 剛徳 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30263304)
池澤 一彦 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (80294114)
村上 伸也 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70239490)
佐保 輝之 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (10263295)
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Keywords | ヒト歯髄細胞 / FGF-2 / 覆髄剤 / 創傷治癒 / 修復象牙質 / 石灰化 / ALPase活性 |
Research Abstract |
平成14年度は、ヒト正常歯髄組織より歯髄由来細胞株を樹立し、その増殖能、遊走能、およびアルカリフォスファターゼ(ALPase)活性、in vitroにおける石灰化ノジュール形成能についてFGF-2添加の影響を検討した。その結果、ヒト歯髄細胞は牛胎児血清(FCS)非存在下または低濃度FCS存在下でFGF-2濃度依存的に増殖能が促進された。In vitroで作製された創面モデルを用いた解析の結果から、ヒト歯髄細胞の遊走能は、FGF-2添加により促進された。一方、硬組織形成細胞への分化指標であるALPase活性および石灰化ノジュール形成は、FGF-2添加により抑制された。これらの結果は、歯髄組織に露髄が生じた場合に、その創面をいち早く高密度の歯髄由来細胞で覆い修復象牙質による修復を期待するためには、創傷治癒の初期にのみFGF-2を作用させ歯髄細胞の遊走、増殖を促進し、修復象牙質形成期にはFGF-2の効果を消退させて石灰化を誘導することがより望ましいことを示唆しているものと考えられる。次年度以降、動物実験の開始を予定しており、ラットおよびビーグル犬の前歯に作られた露髄面へのFGF-2の局所応用の方法を考えるに際しては、本年度の結果を念頭に置いてFGF-2の至適濃度およびその基剤の選択がなされることになろう。また、in vitroにおけるFGF-2の歯髄細胞に対する硬組織形成細胞への分化抑制のメカニズムを解明するために、これまでの実験で明らかにされた歯髄細胞の分化指標であるALPase活性や石灰化物形成の経日的変化をもとに、分化に関わる細胞外基質産生や転写因子発現のFGF-2による制御についても現在検討を行っている。
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