2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン共鳴及び蛍光測定を用いた全身麻酔薬の作用機構の研究
Project/Area Number |
14370653
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 邦明 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40133748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平沖 敏文 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10125346)
出山 義昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (80271667)
吉村 善隆 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30230816)
福島 和昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00002361)
飯田 彰 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90292036)
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Keywords | リポソーム / 電子スピン共鳴 / オーダーパラメータ / 回転相関時間 / スピンラベル剤 / 全身麻酔薬 / 膜タンパク質 / Na,K-ATPase |
Research Abstract |
スピンラベル剤5-doxyl stearic acid(5-DSA)および16-doxyl stearic acid(16-DSA)を組み込んだdimyristoylphosphatidylcholine(DMPC), dioleoylphosphatidylcholine(DOPC), egg yolk phosphatidylcholine(EYPC)の多重層リポソームに対する全身麻酔薬、セボフルレンとイソフルレンの作用と温度の影響を電子スピン共鳴(ESR)スペクトルの測定を行って解析した。ESRの測定は10℃から50℃の範囲で行い、得られたESRスペクトルの線形変化を見ると同時にオーダーパラメーターSおよび回転相関時間τを計算した.DMPC、DOPCおよびEYPCから構成された3種のリポソームの5-DSAおよび16-DSAに共通して、温度を上げるとスペクトルの最大分離幅が減少してスペクトル強度が増加し,運動性が高くなることを示した.麻酔薬の非存在下では5-DSAのSおよび16-DSAのS,τ値とも温度の上昇に伴って減少し、膜の流動性が増大することを示唆したが、飽和脂肪酸であるDMPCの場合は相転移温度付近で急速な変化を示し、不飽和脂肪酸であるDOPCと両者の混合であるEYPCの場合は測定温度全域にわたり徐々に減少した。臨床濃度の麻酔薬はこれらESRスペクトルに変化を与えなかった。高濃度のイソフルレンおよびセボフルレンは低温領域でより強くSおよびτ値を減少させて膜の流動性を増大させることを示唆したが、温度の上昇に伴いその作用は低下した。イソフルレンに比べてセボフルレンの作用は弱く、特にDOPCとEYPCの5-DSAのSに対してはほとんど影響を与えなかった。以上の結果は、麻酔薬の存在に関わらず温度の上昇に伴いリポソーム膜の流動性が増加することと、麻酔薬は低温ほど顕著にリポソーム膜の流動性を増大し飽和脂肪酸の相転移温度を低温にシフトさせることを示した。
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Research Products
(8 results)