2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン分光技術とフーリエ変換型赤外(FT-IR)顕微分光の臨床検査への応用研究
Project/Area Number |
14370793
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
三好 憲雄 福井大学, 医学部, 助手 (40209961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 利行 福井大学, 医学部, 助教授 (20260565)
今村 好章 福井大学, 医学部附属病院, 助教授 (40223341)
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Keywords | 腫瘍生組織 / 赤外顕微鏡 / ラマン顕微鏡 / 分子振動構造 / 不可視 / 可視化 / 酸化チタンナノ粒子 / 病態検査 |
Research Abstract |
本研究の最終年度に当たる平成17年度は、ラマン分光顕微鏡とフーリエ変換型赤外(FT-IR)顕微鏡を駆使して、応用面を広めるべく、ナノメデイシンに関連する光触媒として活用するために、酸化チタンナノ粒子を使用した。このナノ粒子は2737cm-1付近に12本の細かい酸化チタン由来の赤外吸収ピークが存在していることが、標準物質(P-25)から明らかになった。そこで癌培養細胞や実験腫瘍動物を使用して、酸化チタンナノ粒子ゾル溶液と腫瘍親和性のある光増感剤の前駆体である5-aminolevulinic acid(5-ALA)を混合して、腫瘍組織に選択的に送り込めた。その腫瘍組織内ナノ粒子確認のために、ラマン分光顕微鏡とフーリエ変換型赤外(FT-IR)顕微鏡のメリットを活かすことができた。 その結果、腫瘍組織内での酸化チタンナノ粒子は1-2μmの顆粒状に固まって取込まれていることが、両顕微鏡のマッピング像から確認できた。また、連続切片の組織H.&E.染色像からも褐色の顆粒状のものが確認でき、本研究課題である赤外分光顕微鏡とラマン顕微鏡により、眼では不可視の赤外線領域の生組織内生体分子の振動構造を抽出することにより、何の処置も施す事無く、コンピューターのモニター上で種々の生体分子の特異的染色ができることが実証化され、今後の病態検査学への計り知れない有用性を提示できたものと考える。 特に今年度は、ナノメデイシンに対応する体内粒子の局在部位を特定するには非常に有力な検出手段に成りうることを実証できた。これは、これから頻繁に活用されるナノ粒子の特異的振動構造に対応する種々の赤外分光吸収ピークの有無により判別ができることである。今後、特に体内でのこの検出技術の優位性を大いに活用すべきではないかと考えている。
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