2003 Fiscal Year Annual Research Report
がん体験者の折り合いをつける力に着眼した長期的適応を促す看護援助プログラムの開発
Project/Area Number |
14370821
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
藤田 佐和 高知女子大学, 看護学部, 助教授 (80199322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 宣容 高知女子大学, 看護学部, 講師 (10244774)
森下 利子 高知女子大学, 看護学部, 教授 (80174415)
鈴木 志津枝 高知女子大学, 看護学部, 教授 (00149709)
吉田 亜紀子 高知女子大学, 看護学部, 助手 (50347655)
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Keywords | がん体験者 / 折り合いをつける力 / 長期的適応 |
Research Abstract |
平成15年度の報告 本年度は以下の内容を実施した。 がん体験者の折り合いをつける力に着眼し、体験者が退院後どのように拡がりを得ているのかを明らかにすることを目的に、研究協力の得られた施設の同意の得られた外来通院者を対象に質問紙調査を行い、質的帰納的に分析した。質問内容は、(1)適応状態と(2)これまでの体験内容である。177名から回答が得られ、そのうち89名(50.3%)の内容に拡がりに関連する内容が抽出された。対象者の退院後の期間は、3年未満が44.9%、3年以上5年未満が32.6%、5年以上が22.5%であった。 退院後のがん体験者の適応過程における拡がりとして、以下の4つの局面が抽出された。 1.《病気になった自己と和解する》とは、病気になった自分を振り返り自己と周りの環境との関係から新たな気づきを得て肯定的な適応過程を歩みはじめることで、<がん体験を通しての学びを整理する><周囲のサポートの重要性を認識する><これまでの見方や考え方を変える><自分の思考や行動の変化を認識する><病気との付き合いにおける心構えをもつ>があった。 2.《病前の生活の編み直しをする》とは、これまでの生活を基盤にしながら目標をもってがんと共に生きる生活を引き受けて自分らしい人生を実現していくことで、<生活の仕方・生き方の選択をする><自分の生活信条をもつ><病気や健康への取り組みをする>があった。 3.《自己の拡張を認識する》とは、人生を前向きに生きることで以前よりもよくなったと自己評価し、人として豊かに成長した自分を認識しその意味を理解することで、<自分の生活や生き方を肯定的に評価する><自己の成長や拡大を自覚する>があった。 4.《病気体験の有意味な活用を要請する》とは、同病者はもちろんのこと広く社会に対して自己の体験を語り伝え、がん体験者ならではの役割を担いたいと切望することで、<同病者の支えとなることを志向する><がん予防の役割を担うことを願望する>があった。
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