2004 Fiscal Year Annual Research Report
数学の文化的視野覚醒と新文化創出のための教材・指導法開発研究
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14380055
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
礒田 正美 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (70212967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 静海 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (20115661)
渡辺 公夫 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50015913)
田中 二郎 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (20251043)
大久保 和義 北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 教授 (80113661)
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Keywords | 数学 / 教育課程 / 教材・教具 / 道具 / マルチメディア / 数学史 / 解釈学 / 数学観 |
Research Abstract |
数学の文化的視野の覚醒のために平成16年度の研究では、他の研究で開発した数学の道具を活用し、以下の指導事例を各3時間分実施し、その授業開発成果をwebサイトに掲示した。 1)折り紙でユークリッドに挑戦:折り紙で作られる包絡線による円錐曲線。2)造船の歴史と数学:アルキメデスの重心論からオイラーへ。3)重差術を用いた授業研究:2000年前の測量術である「海島算経」。4)クロススタッフによる測量:アラビアからヨーロッパに伝わった角以前の測量器具。5)日本の測量における六分儀:航海用具から測量器具への転用、6)セクターと比例に関する授業:イギリスで開発された比例コンパスの利用、7)歴史的道具アストラーベを用いた授業研究:天球における高度を測定する道具、8)古代の宇宙観:日時計の影の扱いにみる古代の宇宙観を対比、9)パスカルの三角形と確率:パスカルの三角形と二項定理、10)アラビアの数学:平方完成とは正方形化であること、11)ヴィニョーラの作図器と地図:曲面上に写実的にみえるような絵を描く技法と曲面上から平面に投影する技法、12)スコーテンの作図器:円錐曲線作図器、13)ホイヘンスの等時曲線:伸開線とサイクロイド。 以上の事例は、いずれも歴史原典と歴史上の道具を活用して、現代の学校数学とは異なるもう一つ別の数学を提示するものであり、それによる異文化体験と、人の営みとしての数学を学ぶことをねらうものである。3時間という短い授業時間ではあるが、いずれの場合においても、受講した生徒は自分の数学観の変容を感想に記している。このような教材による学習指導が、数学の文化的視野を覚醒し、ひいては、自らの数学学習をも比較相対としての文化的営みであることを知ることができることが、確認された。そして、そのための教材群、指導事例群を開発することができた。
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Research Products
(7 results)