2003 Fiscal Year Annual Research Report
障害の重度・重複化とニーズの多様化に対応し得る訪問教育支援システムの構築
Project/Area Number |
14380097
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
片桐 和雄 金沢大学, 教育学部, 教授 (00004119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60251568)
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Keywords | 重度・重複障害児 / 訪問教育支援システム / 遠隔教育 |
Research Abstract |
本年度(第2年度)の主要な研究課題と成果は次のとおりである. 1.障害類型に対応した指導モデルの体系化 障害類型が異なる事例への指導プロセスの分析と評価を継続した.聴性行動では明確な反応が観察されるものの,視性行動では反応が認められない事例において,聴覚的働きかけに触覚的情報(事物を握らせるなど)を随伴させることによって,呈示物への定位的視性反応を誘発することが可能になった.また,通常姿勢の腹臥位では一定の範囲内で視覚的定位・探索がみられる事例に関して,支持座位での指導を継続した.その結果,より広い視野範囲の事物に対する視覚的定位と上肢による能動的,目的的運動が増加するとともに,首振りという常同的運動が抑制された.これらの結果は,障害類型の特徴に応じた感覚間相互作用と感覚運動統合の指導プログラムを作成するうえで重要な知見であり,ICIE2003において発表した. 2.遠隔教育システムの開発 前年度の基礎的研究の成果を踏まえて,「在宅・通学」事例を対象にして,PCネットミーティングを活用した遠隔教育を実際に試行した.主要な指導課題はYES/NOの応答の分化と明瞭化である.週1回の遠隔教育と週1回の家庭でのAACを中心とする指導を継続する過程で,YES/NOが分化し明瞭になるとともに,他の手段による応答の萌芽が認められた.これらの結果は,回数・時間が大きく制約されている「訪問教育」における遠隔教育導入の有用性を示す成果である.
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