2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的環境アセスメントのための地域景観情報の総合化
Project/Area Number |
14380274
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中越 信和 広島大学, 総合科学部, 教授 (50188918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 和明 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 講師 (50326295)
鎌田 磨人 徳島大学, 工学部, 助教授 (40304547)
岡部 建士 徳島大学, 工学部, 教授 (10035652)
森本 幸裕 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 教授 (40141501)
中村 太士 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90172436)
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Keywords | GIS / リモートセンシング / 生態系評価 / コンピューターソフト / アンブレラ種 / 河川・流域 / 湿地 / 都市林 |
Research Abstract |
研究2年目は代表者と各分担者で相互に密接に連絡をとり,総合化のためのGISの構築に努力した.その結果,現在日本の環境アセスメントで最重要視されている「生態系評価」を行なうためのコンピューターソフト(名称Eco GIS)を開発することに成功した.本ソフトは環境省の評価の後,本年4月に(株)電力計算センターから販売する予定になっている.また生態系評価を行なうための環境地図の作成技術についても基礎から綿密に再検討し,航空写真のオルソ化の技術と地形標高モデル(DEM)を作図過程でラスター型GISによって活用することが正確な環境地図作成のために重要であることを確認した.近年,我が国の環境行政で着々と進む法整備(アセス法1997;実施1999,新・生物多様性国家戦略2002,自然再生法2003)で,常に議論されつつも不明確だった点は,目標すなわちゴールがどのようなものであるかという点に尽きる.よって戦略的環境アセスメントには,理念としての健全な環境の保全・創出ではなく,長期的ビジョンのもとでより具体的に国内各地における自然保全と開発のバランス,その連続性や独自性の確保,数値的目標を示すことが求められている.このため本年度は,共同研究者と生態系評価の理念および方法を標準化するために,対象生態系を河川・流域,田園,都市林,及び湿地等にとり,北海道,本州,四国で生態系評価の試みを推し進めた.さらに比較対象としてマレーシア,ニュージーランド,中国などの諸外国でも同様の研究を行った.以上の成果は,本科研の代表者,分担者5人が演者,指名討論者に含まれる日本景観生態学会第14回大会公開シンポジウム(3月20日)「景観生態学と戦略的環境アセスメント」で最重要課題となって公表され大きな反響をよんだ.以上から本研究は社会的にも十分評価されたと考えている.
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Research Products
(32 results)
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[Publications] Forood A.D.: "Rehabilotation of Shibateranthis pinnatifida Maxim., a GIS approach."Hikobia. 14. 9-14 (2003)
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[Publications] Hikasa M.: "Application of the ecology Rhododendron ripense to protection of the species from the effects of dam constraction."Hikobia. 14. 1-8 (2003)
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[Publications] 河野万里子: "アリ類による都市公園の環境評価"環境情報科学論文集. 17. 307-310 (2003)
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[Publications] Ahmad Jailani M.Y.: "Application of GIS and remote sensing for measuring and evaluating land-use change and its impact of water quality in the Pinang River watershed."Ecology and Civil Engineering. 6. 97-110 (2003)
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[Publications] Nagashima K.: "Plantation expansion possibility and its influence on land-pattern in the Nelson region, New Zealand."Forest Ecology and Management. 184. 263-275 (2003)
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[Publications] Zhao B.: "Wise exploitation of newly growing land resources - an assessment on land use change of Chongming Island using GIS."Chinese Geographical Science. 13. 134-141 (2003)
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[Publications] 太田陽子: "瀬戸内海の果樹園景観の動態"日本研究. 特集号2. 37-48 (2003)
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[Publications] Nakagoshi N.: "River system in Japan from a landscape ecological aspect"Journal of Environmental Sciences. 15. 160-166 (2003)
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[Publications] Zhao B.: "The impact of urban planning on land use and cover in Pudong of Shanghai, China."Journal of Environmental Sciences. 15. 205-214 (2003)
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[Publications] Ahmad Jailani M.Y.: "The effects of drainage basin geomorphometry on minimum low flow discharge : the study of small watershed in Kelang River Valley in Peninsular Malaysia."Journal of Environmental Sciences. 15. 249-262 (2003)
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[Publications] Nagashima K.: "New Zealand resource management system and its effectiveness."Ecology and Civil Engineering. 6. 73-85 (2003)
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[Publications] 佐川志朗: "北海道南部小渓流河川におけるシシャモの産卵場所選択"魚類雑誌. 50-1. 63-66 (2003)
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[Publications] 佐川志朗: "北海道北部の河川支流域における秋季イトウ未成魚の生息場所と採餌様式"日本生態学会誌. 53-2. 95-105 (2003)
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[Publications] 高木麻衣: "ダムによる流量調節が河畔林に及ぼす影響について-北海道札内川の事例-"日本林学会誌. 85. 214-221 (2003)
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[Publications] 立木靖之: "森林における歩行時のGPS測位精度評価"日本林学会誌. 86. (2004)
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[Publications] Nakamura, F.: "Rapid shrinkage of Kushiro Mire, the largest mire in Japan, due to increased sedimentation associated with land-use development in the catchment."Catena. 55. 213-229 (2003)
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[Publications] 山田浩之: "河畔緩衝帯の生態学的意義と草地開発が水辺の生態系に及ぼす影響"Grassland Science. 48(6). 548-556 (2003)
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[Publications] 高橋和也: "生態学的機能維持のための水辺緩衝林帯の幅に関する考察"応用生態工学. 5-2. 139-167 (2003)
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[Publications] 中村太士: "河川・湿地における自然復元の考え方と調査・計画論-釧路湿原および標津川における湿地.氾濫原.蛇行流路の復元を事例として-"応用生態工学. 5-2. 217-232 (2003)
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[Publications] 中村太士: "自然再生事業の方向性"土木学会誌. 88. 20-24 (2003)
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[Publications] 中村太士: "釧路湿原の現状と自然再生事業の概要"保全生態学研究. 8. 129-143 (2003)
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[Publications] 内藤和明: "自然と共存する農業 コウノトリを支える農業"農業と経済. 70(1). 70-78 (2004)
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[Publications] Natuhara Y.: "Creation and adaptive management of a wild bird habitat on reclaimed land in Osaka Port."Landscape and Urban Planning. (in press).
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[Publications] 橋本啓史: "大阪市街地の都市緑地の樹林を利用する鳥類を決定する要因"国際景観生態学会日本支部会報. 8. 53-60 (2003)
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[Publications] 三好文: "大阪府と滋賀県におけるカスミサンショウウオの生息地の連続性の評価"ランドスケープ研究. 66. 617-620 (2003)
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[Publications] 夏原由博: "草地と樹林地の配置が動物群集にどう影響するか"Grassland Science. 48. 536-541 (2003)
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[Publications] 松井理恵: "都市近郊における大規模造成樹林地の自然回復度評価・シダ植物を事例として"日本緑化工学会誌. 29. 119-124 (2003)
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[Publications] 森本幸裕: "都市における生物生息空間の保全と創出"公園緑地. 64(5). 24-28 (2004)
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[Publications] 鎌形哲稔: "高分解能衛星データによる都市近郊の植生抽出と樹種判別"日本写真測量学会平成15年度年次学術講演会発表論文集. 21-24 (2003)
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[Publications] 鎌形哲稔: "異なるセンサを用いた都市近郊域の植生解析"日本写真測量学会平成15年度秋季学術講演会発表論文集. 125-128 (2003)
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[Publications] 中村太士(分担:池田駿介, 林良嗣, 嘉門雅史, 磯部雅彦, 川島一彦編): "自然・生態システム「森林から河川-物理系と生態系」.新領域土木工学ハンドブック"潮倉書店. (2003)
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[Publications] 中村太士(分担:木平勇吉編): "1.2森林計画の時空間スケールと社会的背景,2.3森林の機能別保全のサブシステム.森林計画学"朝倉書店. (2003)