2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国少数民族のエスニック・アイデンティティの人類学的研究
Project/Area Number |
14401017
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山路 勝彦 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30090731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潘 宏立 平安女学院大学, 現代文化学部, 助教授 (20321060)
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
曽 士才 法政大学, 国際文化学部, 教授 (10196991)
手塚 恵子 京都学園大学, 人間文化学部, 専任講師 (60263183)
岡田 浩樹 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (90299058)
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Keywords | 中国 / 少数民族 / エスニシティ / アイデンティティ / 多民族国家 / 伝統文化 / 多様性 / 野外調査 |
Research Abstract |
多民族国家としての中国では、少数民族の占める位置はきわめて重要である。現在では、一方では国民統合が求められると同時に、他方では様々な機会を利用して多くの少数民族は伝統の復興と自文化の表出を求めるようになった。こうして、エスニック・アイデンティティの確立は現代中国の趨勢になっている。本年度は、朝鮮族、モンゴル族、回(ホイ)族、土家族、壮(チワン)族、苗(ミャオ)族、ヤオ族を対象とし、野外調査を実施することで、本課題に取り組んだ。その結果、アイデンティティの確立をめぐっては多様な形態が浮き彫りにされた。 韓国、北朝鮮という国民国家を背後に持つ朝鮮族には、中国という国民国家の一員であるとともに、韓国と同じ民族であるという意識がある。これに対して、全国的に散居する回族は、多様な文化を保持していて、回族としてのアイデンティティは一様でない。 中南地域の土家族は、南中国に住む壮族と並んで、漢化が著しく、生活習慣のうえでは漢族との差異はあまりない。しかしながら、最近では民族意識を強める動きもまた観察される。こうして、漢族との歴史的関わりのなかで、土家族と壮族の文化を再構成する研究が行われた。 同じ民族意識を強調する場合でも、ミャオ族には、歴史上の英雄を再評価することで自己のアイデンティティを確立しようとする動きがある。加えて、自己の伝統文化を観光資源として活用する動きは顕著であり、民族意識の昂揚をもたらす結果を生んでいる。このような民族文化へのこだわりは、モンゴル族、ヤオ族にも見出される。モンゴル国と中国、タイ国と中国というように、国境をまたがる両民族では、注意深く地域的差異を考慮しての調査が実施された。
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Research Products
(1 results)