2002 Fiscal Year Annual Research Report
イラン国ギーラーン州セフィードルード川流域における民族考古学及び生態考古学的研究
Project/Area Number |
14401030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
大津 忠彦 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (30260144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 清秀 広島大学, 大学院・文学研究所, 教授 (70136018)
足立 拓朗 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (90276006)
岡野 智彦 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (40260145)
前杢 英明 広島大学, 大学院・文学研究所, 助教授 (50222287)
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Keywords | イラン / 遺跡分布調査 / 発堀調査 / テペ(遺丘) / ジャラリイェ・テペ / パルティア / サーサーン / 鉄器時代 |
Research Abstract |
今年度の現地考古学調査は、8月12日より9月22日まで実施し、日本側より5名、イラン側より10名が参加。主たる調査活動はセフィードルード川西岸における遺跡分布調査とジャラリイェ・テペ遺跡の発掘調査であった。 1.遺跡分布調査 イラン当局より地形図(25,000分の1)使用許可を得、昨年度までのデータ再確認と散布考古資料の採集を行う。最終的には26地点となり殆どは古墓遺跡であったが、窯跡(ドガヘ、ポシュテ、ドガーミヤーン各遺跡)や「ハマーム」(ジューベン遺跡)などを新たな遺構として確認。石器(敲打器・鞍状挽臼)や土器・陶器を大量に採集するも、帰属年代は未だ不祥。キャルーラズの谷からキズィルウズン川までの地域では、古墓や遺物散布地以外に集落址(スィーネハーニー遺跡)、テペ(シャーレフB遺跡)、岩陰(デズバッレB遺跡)など62地点をリスト化。帰属年代は未だ不祥。 2.ジャラリイェ・テペ遺跡の発掘調査 遺丘南斜面に東西2.5m、南北30mの発掘区を設定し、地山層まで掘り下げ、表土層下に3つの文化層を認める。共伴する土器から、第1層はパルティア/サーサーン時代、第II層、第III層は鉄器時代(紀元前1千年紀初期)に帰属すると暫定する。遺構として、ピット(第I層)他、石積みによって構築された壁体(第I、II、III層)、遺丘裾部の溝状掘り込み(幅3m、深さ2m)などを確認。土層観察によれば、ジャラリイェ・テペはもともと250mほどの高さの自然丘であって、その頂部付近を平坦に整形した上に文化層が堆積した遺丘と推察される。 3.その他 調査成果の概要は下記の研究会、セミナーなどで発表: (1)イラン文化遺産庁(テヘラーン)におけるセミナー(2003年2月25日) (2)「日本西アジア考古学会」主催の第10回西アジア発掘調査報告会(2003年3月8日) (3)中近東文化センターにおける第2回イラン調査報告会(2003年3月30日)
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 大津 忠彦: "イラン踏査覚書(20)付記、イラン遺跡調査再開-「日本・イラン共同調査団」発足とギーラーン州遺跡踏査-"chashm. 114. 15-23 (2002)
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[Publications] 大津 忠彦: "古代イランの金属器「秘宝」を考古学研究資料たらしめるために"古代イラン秘宝展(岡山オリエント美術館図録). 74-75 (2002)
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[Publications] 大津 忠彦: "ギーラーン(イラン)における第二次日本・イラン共同考古学速報"chashm. 119. 20-29 (2002)
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[Publications] 大津 忠彦: "イラン考古学事情-外国人研究者への門戸-"アジアウェーブ. 113. 25-27 (2002)
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[Publications] 大津 忠彦: "イラン、ギーラーン地方の踏査"今よみがえる古代オリエント. 36-38 (2002)
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[Publications] 大津 忠彦: "「日本・イラン共同調査団」によるセフィードルード川流域(ギーラーン州)における考古学調査"今よみがえる古代オリエント. 51-56 (2003)
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[Publications] Ohtsu Tadahiko: "Archaeological Survey in Northwestern Iran -Report on the General Survey in Gilan and Its Surrounding Areas-"The Middle Eastern Culture Center in Japan. 70 (2003)