2005 Fiscal Year Annual Research Report
日系食品企業の海外進出と日本農業に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
14402032
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
藤島 廣二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (70287449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
應和 邦昭 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20194061)
板垣 啓四郎 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20130304)
大島 一二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (40194138)
稲泉 博己 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (50301833)
高柳 長直 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (60226933)
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Keywords | 農産物流通のグローバル化 / 日系食品企業 / 中国 / 東南アジア / 輸入野菜 / 食品輸出 / 食品輸入 |
Research Abstract |
本研究の第1の目的は、最近の急速な農産物流通のグローバル化の中で、輸出国と輸入国の流通構造がどのように変化しつつあるかを、日系食品企業の中国・東南アジアへの進出と日本との関係の分析を通して統一的に解明することである。第2の目的は、大量の食料品の輸入が日本の農業にどのような影響を与えているのかを分析することである。 これらの目的の下、17年度は以下のような実態調査やフォーラムを行った。藤島・田中・上岡・高柳はタイ国バンコク市近郊農村、同市内卸売市場、同国輸出関連企業、輸出関連施設等において聴取調査を行うとともに、カセサート大学等から資料を収集し、大島は中国広東省市内野菜生産企業等において、実態調査を行った。また、平成17年度にはフィリピン大学のRaden Piadozo教授を招いて、学生、大学院生も参加したフォーラムを実施した。その成果は以下のとおりである。 (1)日本において中国からの野菜輸入が増大し始めたのは、1990年代に入ってからであった。それ以前における野菜の主な輸入先は、アメリカと台湾であった。なお、中国の野菜輸出は今でも日本向けが中心であるが、日本での残留農薬問題以降、日本以外への輸出比率を上昇させた。 (2)中国に限らず、タイ、台湾等の多くの国において、日本向けの野菜を生産する場合、日本の種を利用し、さらに日系企業の指導を受けるのが一般的である。この日系企業は必ずしも日本の輸入商社と言うことではなく、輸入商社の依頼を受けた種苗会社である場合も多い。 (3)残留農薬問題以後、その解決の方策として中国では農地集積に基づく農場の開発が進展した。ただし、輸出国に応じて、そうした農場以外からの輸出も多い。 (4)1990年代に輸出国においては生産量が大幅に増加した一方、2000年代に入ってから日本の輸入量はBSEや残留農薬問題の影響を受け伸び悩み状態にある。このため、輸出国内の流通構造に大きな変化が現れつつある。 (5)日本の産地は輸入農産物の増加に対応して様々な対策を講じた。その一つが高付加価値化であるが、最近ではブランド化として力を入れている産地が少なくない。
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Research Products
(7 results)