2004 Fiscal Year Annual Research Report
タイにおける地盤汚染の拡大機構の解明とその対策に関する研究
Project/Area Number |
14404002
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
風間 秀彦 埼玉大学, 地圏科学研究センター, 助教授 (40008868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 邦夫 埼玉大学, 地圏科学研究センター, 教授 (00008880)
荒川 洋二 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00192469)
長田 昌彦 埼玉大学, 地圏科学研究センター, 助教授 (00214114)
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Keywords | 地盤汚染 / 土壌汚染 / 地下水汚染 / 汚染物質 / 蒸発散 / 飽和・不飽和浸透 / 国際研究者交流 / タイ |
Research Abstract |
タイにおける地盤汚染の拡大機構の解明とその対策に関する研究本研究は、タイにおける地盤汚染に着目し、地盤汚染の実態把握、拡大機構の解明とその対策について明らかにすることを目的とした。特に、従来の環境工学分野であまり調査・研究されていない排水路周辺の地盤特性、および蒸発散による地下水と汚染物質の移動メカニズムの解明を行う。なお、本研究は平成14〜16年度の研究であり、最終成果の取りまとめを行った。その主な成果はつぎのとおりである。 タイのおける地盤汚染防止やその規制に関する基準は、先進国に比べて比較的緩い内容であるが、地盤汚染は、先進国と同様な工場排水、鉱山(ヒ素など)、エビ養殖、塩田などの人為的なものの他に、岩塩などによる自然汚染の2種類があることが判明した。しかし、前者の汚染は予想よりも実際に調査・測定が行われているケースが少ないこと、行われていても未公開のものが多く、十分に実態を把握することができなかった。また、汚染物質の移動機構を明らかにするために、水分の蒸発散測定を行った結果、地形変化の小さい地域では、地表面や植物から蒸発散が大きく影響し、汚染物質が高濃度化することが明らかになった。これは汚染した河川水あるいは地盤内の汚染物質が地盤に浸透し、水頭勾配や蒸発散により地中を移動して汚染が拡大するためである。したがって、バンコク平野部における地表付近の主たる地盤汚染は、河川水、地下水、土壌の複合型の汚染であることが明らかになった。この種の汚染は、将来的にはミャンマー、ラオス、カンボジア等周辺国においても問題になると考えられ、早急に対策を行う必要がある。汚染の拡大防止は、汚染源を絶つことが第一であるものの、高濃度化した地域を遮水材料などによって地下水の移動を防ぐ対策工を行い、その上で浄化処理などのを行う必要がある。
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