2004 Fiscal Year Annual Research Report
マメ科植物とその寄生/共生生物の系統対応から見た共進化過程の解明
Project/Area Number |
14405003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 正和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40178950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00193524)
青木 誠志郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10334301)
徳永 幸彦 筑波大学, 生物化学系, 助教授 (90237074)
津田 みどり 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (20294910)
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Keywords | マメ科植物 / マメゾウムシ科 / 分子系統解析 / 細胞内共生細菌 / 競争型 / 共進化 / 根粒菌 / 分子生物地理学 |
Research Abstract |
嶋田は、院生D1年の加藤俊英とともにメキシコ合衆国南部Oahaxa州で採集を行った。Oahaxa州はメキシコ南端からグアテマラ国・ベリーズ国・ホンジュラス国に至る中米諸国の山系であり、前年まで採集したメキシコ中部のVelacults州、San Lui Potosi州、Quertaro州とは山系が異なる。そのために、メキシコ南端から中米に至る寄生植物-マメゾウムシ科の生物相が分かれる可能性を示唆する。今回の寄生植物-マメゾウムシ科では、Mimosestes属、Melobruchas属、Acanthoselides属、Senninus属、Megaselas属などの新しい種名が記載された。これにより、メキシコ中部と南部の分類群を込みにして早急に分子系統解析を行っている。これまでの結果、ネムノキ亜科のMimosestes属では多系統であるが、ジャケツイバラ亜科のSenninus属は単系統であった。またMegaselas属はヒルガオ科を食し、他のマメゾウムシ科とは大きく系統が異なっている。これにより、分子系統樹による寄生植物-マメゾウムシ科の共進化とメキシコ中部〜南部の分子生物地理学を考察する。 津田は、セコブマメゾウムシ属14種の分子系統樹を推定し、貯穀害虫に必要な「乾燥マメを利用する」という形質の進化が何によって決定されているか仮説検証した。その結果、生息地のある気候区はこの形質と相関がなく、マメゾウムシの系統および寄主植物の分類群が有意にこの形質と相関することが判明した。マメゾウムシは乾燥マメを利用できない種はアズキゾウムシ群のみに存在し、キマメ亜連を利用する種は多くが乾燥マメを利用できない。例外的利用できる2種は湿潤な気候区に分布すること、細胞内共生細菌のボルバキアに感染されていることがわかっている。 徳永は、2004年度はマダガスカルのアンタナナリボとフォートドーファンを訪問し、ヨツモンマメゾウムシのさまざまな地理的品種を採集した。特にバンバラマメVigna subterraneaから採集したサンプルは注目される。現在、これらのサンプルから得られたヨツモンマメゾウムシで、競争型の実験を行っている。 青木と伊藤は、マメ-根粒菌共生系に宿主特異性の進化した原因の解明のため(1)宿主特異性を決定づける認識遺伝子の分子進化解析を行い、これらの遺伝子群のみに見られる他の遺伝子にない特殊な分子進化を明らかにした。また(2)根粒形成における生態調査を行い、マメと根粒菌の間に新規な特異性の進化が生成しつつあることを示しこれらの根粒菌に(1)で見つかった分子に特徴的な分子進化を確認した。
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Research Products
(5 results)