2004 Fiscal Year Annual Research Report
南部アフリカのエイズ対策に必要なHIV-1の生物学的および社会医学的研究
Project/Area Number |
14406009
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 直樹 国立感染症研究所, エイズ研究センター, センター長 (00094053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 篤哉 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (00334871)
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Keywords | HIV / AIDS / ザンビア / VCT / MTCT / 感染性分子クローン / subtype C |
Research Abstract |
HIV-1が蔓延している南部アフリカで,抗HIV薬による治療が導入されつつあるが、それに伴って,エイズの予防・治療のプログラムは大きく変容を遂げつつあり,前回までの調査から大きく展開した。 VCT, MTCT, 薬物治療などのプログラムの現状調査をザンビアで行った結果、以下のことが判明した。ザンビア政府は2002年よりARV治療を導入する事を決定し、パイロット地域2病院を選定して国で初めての治療を開始した。指定された病院は、ザンビア大学教育病院(UTH)及びンドラ州立病院である。現在、指定病院は、主要郡病院約64ヶ所まで拡大されている。WHO/UNAIDSの3 by5 Initiativeに沿って2005年までに10万人に対し治療者数を拡大する計画であるが、2005年2月現在、合計約1万9千人となっており、目標達成は難しいと言わざるを得ない。治療拡大計画の伸び悩みの要因として、(1)ARV薬の価格(2)人々のHIV/AIDSに対する偏見と差別(3)VCTテスト実施への人々の意識が挙げられた。 一方、Lusakaで8名の患者から分離したウイルスからMAGIC-5A細胞とLong PCRを用いたHIV Trapping Systemで感染性分子クローンを29クローン樹立した。そのうち9クローンの全塩基配列を決定し近隣結合法により系統樹を作成したところ全てsubtype Cに帰属した。全てのクローンはPBMCで増殖し、CCR5 Tropismを示した。全世界の感染者総数が最も多く、ワクチン開発が切望されているHIV-1 subtype Cの感染性分子クローンの複数分離に世界に先駆けて成功した。 これまでの研究結果成果と経験を踏まえ,新たな局面をむかえた南部アフリカでのエイズ対策について,HIV-1の生物学的検討とエイズ対策の社会医学的な問題点の検討をおこない,それらの結果に基づくエイズ対策のプランを提唱した。
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Research Products
(5 results)