2002 Fiscal Year Annual Research Report
都市イメージ構成要素に基づく認知地図の構造の脳磁図計測による解明
Project/Area Number |
14510108
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
近江 政雄 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70016616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 暢彦 金沢工業大学, 工学部, 助手 (70308584)
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Keywords | 認知地図 / 空間情報処理 / 自己中心座標系 / 環境中心座標系 / 都市のイメージ / パス / ランドマーク / 脳磁図 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の認知地図がリンチが提唱する都市のイメージの構成要素に対応したものから成り立つという仮説にもとづき、認知地図における環境の表現様式を明らかにすることである。本年度は、先験情報による形成される認知地図への影響について、心理物理学的実験をおこなうとともに、脳磁図計測実験を開始した。 1.心理物理学的実験により、人工現実感環境における経路検索の直前にあたえた音声によるパス・ノード情報の経路探索時間への影響について検討した。自己中心座標的なパス・ノード情報と環境中心座標的なパス・ノード情報による経路探索時間の違いを比較したところ、環境の構造が複雑でランドマークが存在しない場合において、後者の方が経路探索時間が有意に短いという結果が得られた。この結果は、環境が複雑な場合においては、環境中心座標的なパス・ノード情報によって認知地図が形成されることを示す。 2.心理物理学的実験により、人工現実感環境における経路検索の直前にあたえた地図によるパス・ランドマーク情報の経路探索時間への影響について検討した。地図による先験経路情報においてパスもしくはランドマークに偽りがある場合に、経路探索時間が有意に長くなるという結果が得られた。とくに、ランドマークに偽りがある場合には、そのランドマークから離れた場所においても経路選択の誤りが増加し、これは地図におけるランドマークと環境におけるランドマークの間の不一致が、環境全体の認知地図の形成を妨げることを示す。 3.これらの心理物理学的方法によって判明した認知地図の構造と、その脳内活動部位の時間的変化の関係をもとめるための脳磁図計測実験を開始した。今後さらに被験者を増やして実験を継続する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 近江政雄: "三次元空間の認知"電子情報通信学会2002年総合大会講演論文集. 509-510 (2002)
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[Publications] 近江政雄: "認知地図の獲得における目印情報の役割"シンポジウム「ケ一タイ・カーナビの利用性と人間工学」研究論文集. 11-14 (2002)
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[Publications] 竹田仰, 近江政雄, 北島律之, 宮里勉, 若松正晴, 下田宏: "空間移動のためのインタフェース"ヒューマンインターフェース学会誌. 14・2. 37-43 (2002)
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[Publications] Masao OHMI, Masaki ARAI: "Ability to find a way and that to acquire a cognitive map are related differently with spatial abilities"Proceedings of the Second Asian Conference on Vision. 65 (2002)
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[Publications] Masao OHMI: "Effects of local landmark information on performance of wayfinding"Perception. 31. 124 (2002)
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[Publications] 近江政雄: "ウエイファインディングにおける先験経路情報の役割"日本認知心理学会2003年講演論文集. (発表予定). (2003)