2002 Fiscal Year Annual Research Report
自尊感情の適応生成機能とモチベーション-「自己制御焦点」を基幹概念として-
Project/Area Number |
14510177
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
遠藤 由美 奈良大学, 社会学部・人間関係学科, 教授 (80213601)
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Keywords | 自尊感情 / 自己制御 / 動機づけ |
Research Abstract |
本年度は、以下のような実験をとおして、自尊感情が自己制御とどのように関わっているかを検討しようとした。まず、正答がわかりにくい複雑な図形課題を複数個用意し・基準を実験参加者に通知する。一連の図形課題を3つのブロックに分割し、各ブロック終了ごとに偽の結果フィードバック情報を与える。1つの条件は基準に近いがあと少し満たない状態が徐々に悪化していく下降条件、他の1つは基準を大きく下回る状態が徐々に改善し基準に近づいていく上昇条件である。どちらの条件も基準満たない事は共通している。3ブロック終了後、「休憩」となり、残りさらに3ブロックあるように思わせておく。この状態で、任意の練習課題を準備しておき、課題持続性(動機づけ指標)を測定する。「後半セッション」開始前、感情や自尊感情などを測定し、実験が終了したことを告げた。「基準」には自己制御焦点理論に従った2つのタイプがあり、1つはある基準以上であれば理想的だという理想基準、他の1つはある基準以下であれば問題だという当為基準である。仮説は、理想基準では上昇条件で動機づけが高まり、自分にドライブをかけるために自尊感情が高い状態になる。これに対して、当為基準では特に下降条件で「これ以上外れてはならない」という動機づけが高まり、行動を慎重に制御するため自尊感情が低下した状態(自分のやっていることに疑問を抱き、吟味しながら行動調整をする)となるであろうと考えられる。結果は、条件間で違いがいくつか見られるものの、整合的だとは言えない。実験手続きなどを改良し、次年度さらに検討を加える所存である。
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