2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510221
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
西山 茂 東洋大学, 社会学部, 教授 (00092528)
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Keywords | 新宗教 / 仏教 / 社会化 / 教導 / システム / 育成 / 教師 |
Research Abstract |
平成14年度中に、中山間農村地帯に属する宮城県仙台市泉区根白石地区において、創価学会と立正佼成会を中心とした仏教系新宗教教団の「教導システム」の特徴を探り、併せて、地元社会の伝統的な宗教習俗(葬制墓制・契約講など)の調査を行った。この調査では、都市型の宗教様式をもつ仏教系新宗教教団が、伝統的な宗教様式を強くもっている中山間農村地帯のなかで自教団の信者をどのように教導しているのか、という課題が焦点となった。その結果、伝統的な宗教習俗と訣別し、自教団のやり方で在家主義的な「友人葬」を営む創価学会と、伝統的な宗教習俗を許容し、菩提寺との関係を切らずに葬祭を営む立正佼成会との間に、見事な「教導システム」のコントラストが確認された。 次いで、九州最大の都市・福岡市にある本門沸立宗博多光薫寺を訪れ、折しも行われていた早朝の寒参詣に連日参加するとともに、鳥栖市にある同寺末の光道寺の宗教儀礼にも参加し、複数の僧侶や信者から「教導システム」についての聞き取り調査を行った。同寺では、本年1月から、大掛かりな信者組織の改編を実施していた。これは、光薫寺の組織的な「教導システム」の重要な変更であるといえるが、この他に、同寺では、「現証御利益」を得るために、一定期間、寺院に泊まり込んで行う組織的な唱題行である「おこもり」という「教導システム」や、「十四誹誇」の回避をポイントとした倫理的な「教導システム」をもっていることも判明した。これ以外の仏教系新宗教でも、われわれは、霊友会や真如苑、念法真教、日蓮宗法音寺等への調査を試みた。 以上第一年度調査研究の成果として、インフォーマントから直接に聞き取った一次資料と、その時に収集した文書資料(書き取り資料を含む)を中間的にまとめ、冊子化した。
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