2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本の高等教育改善におけるポートフォリオ活用に関する研究
Project/Area Number |
14510254
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 みどり 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (20211625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西森 敏之 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (50004487)
小笠原 正明 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (60001343)
阿部 和厚 北海道医療大学, 心理科学部, 教授 (10001869)
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (60322856)
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 助教授 (00157025)
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Keywords | ポートフォリオ / ポートフォリオ評価 / コース・ポートフォリオ / 教員評価 / パフォーマンス評価 / 多面的評価 / 学習成果 |
Research Abstract |
ポートフォリオは、学習や実績の証拠を教授者あるいは学習者自身がファイルしたものである。1980年代の中ごろにカナダの大学で教育活動を評価するために用いられるようになり、1990年代になって、米国の大学、高校に広がった。最近は、単位認定や資格審査の資料にも取り入れられ、多様な教育場面で活用されている。ポートフォリオは、教育過程に注目し授業目的に密接にリンクさせた評価が可能であり、「アカウンタビリティ時代」に急速に広まったパフォーマンスやコンピテンシーに注目する新しい学習成果の評価手法の一種である。日本においては、新学習指導要領において新たに導入された総合的学習の時間の活動を評価するための有効な手法として注目され、小・中学校において実践事例が急速な広がりを見せている。 ポートフォリオは、学習者の「努力、進歩、達成」を目に見える形にまとめたもので。伝統的な測定万法によってはとらえにくい能力や資質を、実際の学習過程を良く反映した多面的な資料に基づいて測定する方法である。今年度は、日本の大学で活用できるポートフォリオの形式を試作し、教育改善への活用の可能性について検討した。 大学の初年次教育における「コース・ポートフォリオ」は、能動的な学習を促進し、高次思考能力の育成に寄与する可能性示唆された。具体的なメリットとして、1)教師、クラスメート、親などとディスカッションするための道具になる、2)自分の技能や理解した内容について広く演示する機会となる、3)自分の学習過程や成果を振り返り考察する機会になる、4)近い将来の目標設定の機会になる、5)学習者の能力、態度、表現力の成長や発展を示すものになる、7)情報を選択しまとめる力を養う、8)学習者のそれまでの知識と新しい学習を結びつける機会になる、などが挙げられる。ポートフォリオ評価は多面的な総合評価方法として優れた方法であるが、有効に活用するためには作成者の負担感(時間と努力)の軽減と評価目的の明瞭性を高めるためのシステムづくりが不可欠である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山岸 みどり: "北海道大学AO入試-平成13年度〜15年度-"大学入試研究ジャーナル. 14号(印刷中). (2004)
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[Publications] 山岸みどり(翻訳): "教養教育の評価-米国ワシントン州の経験から-"高等教育ジャーナル-高等教育と生涯学習-. 第12号(印刷中). (2004)
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[Publications] 西森敏之: "コミュニケーション能力を高める授業の設計"高等教育ジャーナル-高等教育と生涯学習-. 第12号(印刷中). (2004)
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[Publications] 細川敏幸: "学生参加型授業の試み-一般教育演習「趣味と科学」-"高等教育ジャーナル-高等教育と生涯学習-. 第12号(印刷中). (2004)
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[Publications] 山岸みどり: "大学教育の改善を目指した教育と学習の支援・評価システムのあり方を考える-日米大学の事例比較から-"日本高等教育学会第6回大会発表要旨集. 50-53 (2003)