2003 Fiscal Year Annual Research Report
大学全入時代における学生・院生の変容と授業改善・学生指導
Project/Area Number |
14510280
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
秦 政春 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20117047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 和仁 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (30335335)
尾崎 仁美 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 講師 (10314345)
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Keywords | 高校格差 / トラッキング / 高校生の進学意識 / FD(ファカルティ・ディベロップメント) / 大学での授業改善・授業改革 / 大学の授業分析 / 学歴意識 / 大学生の生活 |
Research Abstract |
上記の研究課題に関して、今年度は以下の三点について研究を進めてきた。まず一つは、「大学全入時代」をむかえている現代、高校生がどんな意識をもって大学進学を考えているのか、これが「高校格差」とどのように関連しているのかということについて基本的には質問紙調査による結果の分析を行なった。この結果をみると、従来の高校格差に応じたかたちでの進学意識の差異(トラッキング)が弱体化していることが明らかになった。これまであまり大学進学率が高くなかった高校の生徒であっても、大学進学がかなり現実的な選択肢になってきている。いまや高校格差において、上位校は進学、下位校が就職といった図式は当てはまらなくなってきている。しかも、非行・問題行動の発生についても、従来のような高校格差による影響は明らかに弱くなっている。こうした結果をみると、いまの大学入学者は、学力的な側面だけではなく、さまざまな側面で多様になってきていることははまちがいない。二つめは、いくつかの大学におけるFD(ファカルティ・ディベロプメント)の取り組みについて、主としてインタビュー調査によって実態の検討を行なった。これによると、すでに多くの大学で授業改善・授業改革の取り組みがかなり積極的に行なわれている。また、これと並行して、大学における授業を具体的に分析するという作業も行なっている。さらに、三つめとして、全国の大学生を対象にした意識調査を実施した。この調査は、大学における授業への期待といった問題をはじめとして、学歴意識、自己意識、大学内外での生活といったようにかなり多様な質問項目を設定して「現在の大学生の実態」を網羅的に把握することを意図した。調査にさいしては個人のプライバシーの保護に十分配慮して行なったが、現在これに関する基本的な集計を終え、より緻密な分析を進めている段階である。なお、今年度この調査の中間的なまとめとして『調査報告書』を刊行した。
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[Publications] 秦 政春, 片山悠樹, 西田亜希子: "現代高校生にとっての「高校」"大阪大学大学院人間科学研究科紀要. 第30巻. 113-142 (2004)
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[Publications] 細川和仁: "大学生の授業評価観点に関する事例研究-教職課程科目「教育課程論」を対象として-"大阪大学大学院人間科学研究科紀要. 第30巻. 143-157 (2004)
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[Publications] 大阪大学大学院人間科学研究科 教育技術開発学研究室: "大学生にとって、いま「大学」とは?"(印刷中).