2003 Fiscal Year Annual Research Report
新教育運動期における「教職の専門分化」と「教育学の制度化」に関する比較史的研究
Project/Area Number |
14510295
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
山崎 洋子 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (40311823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 隆信 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (30294268)
山名 淳 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80240050)
宮本 健市郎 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50229887)
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Keywords | 新教育運動 / 教員養成 / 教員免許 / ドイツ青年運動 / 宗教の自由 / 労働者 / オープンプラン / イヴラインロウ |
Research Abstract |
平成15年度の研究実績としては,個人レベルでの日常的な研究の他に,二回の研究会(平成15年8月末,平成16年1月中旬)およびドイツへの研究調査(科研費による出張,平成16年1月)とイギリスへの研究調査二回(私費による研修,平成15年9月および同年12月)をあげることができる。研究代表者の山崎は,二回の私費イギリス研修において,(1)イギリスで最初に女性で教授職を得た,カーディフ大学のマッケンジー(Millicent Mackenzie)の自由思想に焦点を当て,彼女の研究業績からその理論を解明し,教員養成史研究においてなぜ彼女への着目が軽視されたかの原因を宗教的背景にあることを突き止め,(2)イギリスのオープンプランの源流Eveline Lowe Primary School(1966-)の子ども中心思想を解明し,そのネーミングの由来となったEveliene Loweと彼女の功績に関して,ケンブリッジ大学のHomerton Collegeにて調査をすすめ,彼女の思想が宗教的偏狭さを乗り越えるための教員養成観であることを解明した。研究分担者の山名と宮本は,ドイツとアメリカの19世紀終わりから20世紀初頭の教員養成と新教育の関係の史料分析を継続した。また,同・渡邊は主にフランクフルトのドイツ国際教育研究所とエール・エアケンシュヴィックの労働者青年運動文書館において資料調査を遂行し,ドイツの新教育運動期における「教職の専門分化」と「教育学の制度化」に関する資料を閲覧・収集した。とりわけ労働者青年運動文書館では,館長のハインリヒ・エッペ氏の手助けを借りながら,19世紀末から20世紀初頭にかけての労働者階級の青少年の生活状況や学習環境に関する資料を数多く閲覧するとともに,労働者青年運動の代表的雑誌である『指導者』(Der Fuhrer)や『労働者青年』(Arbeiter-Jugend)の記事を複写して持ち帰った。こうした資料は,当時のドイツで学校外青少年教育や青少年教護等に携わる教育福祉専門職が徐々に自律化するとともに,そのための学問として「社会的教育学」(Sozialpadagogik)が理論的に整備されていく背景を考察するうえで貴重であるため,現在その分析をすすめている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山崎 洋子: "イギリス公教育におけるイヴラインロウ小学校の先駆性-全人的発達の教育可能性を求めた歴史と現在-"鳴門教育大学学校教育実践センター紀要. 第18号. 59-70 (2003)
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[Publications] 山崎 洋子: "イギリス新教育思想における「自由」の宗教的性格-なぜ哲学者J.S.マッケンジーは「教育の新理想」運動にコミットしたのか-"鳴門教育大学研究紀要. 第19巻. 121-135 (2004)
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[Publications] 山名 淳: "『記憶の場』に関して視覚文化論と教育学を接合する試みあるいは、ファシズム/ホロコーストを伝える空間と芸術テーマへの導入"近代教育フォーラム. 第12号. 171-173 (2003)
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[Publications] 山名 淳: "『近代ドイツ=資格社会の展開』資格社会における新教育運動のジレンマ(望田幸男編)"名古屋大学出版会. 364 (2003)
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[Publications] Jun Yamana In : Kemnitz, H.u.a.(Hrsg.): "Die paedagogische Gestaltung des Raums --Geschichte und Modernitaet"Verwestlichung der Schulraeume im nicht-europaeischen Kulturkreis -- Zur Veraenderung des modernen Lehr- und Lernortes am Beispiel Japan. S.269-S.285 (2003)