2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14510438
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
宮原 晋一 奈良県立橿原考古学研究所, 調査2課, 総括研究員 (90250373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三船 温尚 国立高岡短期大学, 産業芸術科, 教授 (20181969)
中井 一夫 奈良県立橿原考古学研究所, 調査研究部, 主任研究員 (40250360)
横田 勝 国立高岡短期大学, 産業芸術科, 教授 (10029225)
今淵 純子 国立高岡短期大学, 産業芸術科, 助手 (20310493)
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査2課, 主任研究員 (90250381)
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Keywords | 鉄鏡 / 鍛造 / 鋳造 / EPMA / 面反り |
Research Abstract |
・鉄鏡の出土地名表作成のために、今年度は中国大陸の南部を中心にして、文献検索を中心に資料化を行った。伴出する墓誌に、西晋が東遷する際に移住した中原〜山東貴族出身者のものがあり、移住の際に持参した可能性が高いように思われる。鉄鏡の性格は青銅不足を物語るとする解釈があるが、制作地は南にあるのではなく北側にあるとすると、鉄鏡は青銅鏡とは区別されて別の性格を有した製品として制作された能性が高い。 ・中国出土の鉄鏡2面(後漢代と隋代)の資料提供をうけ、EPMA定量分析を行った。金相学的には漢代のものが鋳造品、隋代のものが鍛造品である可能性が高い。ただし、前者のものについても他の例から鍛造品の可能性が高いのではないかと考えており、鏡となる鉄素材が高炭素の粘りのある品位のものである考慮もせねばならない。鉄鏡が鍛造品なのか鋳造品なのかについては、多方面からの検討を必要とすることが判明した。 ・東京国立博物館に所蔵する鉄鏡2面を検討し、鉄鏡の属性や製作技法を検討した。肉眼観察による限り鍛造品である可能性が高い。面反りは皆無で、青銅鏡が湾曲を示すものが多いことと比すると反射効果も異なったものとなろう。うち1面は金象嵌だけでなく貴石を象嵌しており、製品を作成する技法がまったく異なる。一方、紋様表現には共通する要素がある。鏡背に象嵌のできる素材を選択しているのはなかろうか。また金属がなす色効果においても銀白色を呈する鉄の属性に有意性を認めたのではなかろうかとの予察を抱いた。 ・中国で数人の研究者に会い、資料の探索を行った。素材が鉄であるため過去の報告があっても所在不明になっているものが多い、また、保管されていても錆落としが充分に行われていないため、肉眼観察が困難な資料が多く、X線撮影が行われていない資料も多い。特定機関所蔵の鉄鏡をx線撮影する作業から働きかけ、共同研究せねばならない必要性を痛感した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 中井一夫, 清水克朗, 清水康二: "伝世鏡の再検討II-福岡県宮原遺跡および奈良県池殿奥4号墳出土倣製内行花文鏡について-"『考古学論攷』奈良県立橿原考古学研究所. 第25冊. 1-13 (2003)
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[Publications] 中井一夫: "「湯冷え」と「鋳引け」"『古代学研究』古代学研究会. 158号. 1 (2002)
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[Publications] 横田勝, 菅谷文則, 三船温尚, 小堀孝之, 清水克朗, 中井一夫, 宮原晋一, 清水康二: "古代青銅鏡の内部または表面で観察される純銅部の出現形態とその発生機構"『日本金属学会誌』日本金属学会. 66巻7号. 708-714 (2002)
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[Publications] 横田勝, 菅谷文則, 三船温尚, 小堀孝之, 清水克朗, 中井一夫, 宮原晋一, 清水康二: "古代青銅鏡の土中における腐食層の機器分析調査"『日本金属学会誌』日本金属学会. 66巻10号. 1030-1038 (2002)
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[Publications] M.Yokota, F.Sugaya, Y.Kobori, K.Shimizu, H.Mihune, K.Nakai, S.Miyahara, Y.Shimizu: "Possibility of Bacteria-induced Corrosion of Ancient Bronze Mirrors Found in the Ground"第6回中国少数民族科学技術国際会議論文集 寧夏大学. 1-2 (2002)
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[Publications] 清水康二: "銅鏡制作技術の研究の現状と課題-三角縁神獣鏡を中心として"『平成14年度現地研究発表予稿集』日本鉱業史研究会. 1-7 (2002)
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[Publications] 清水康二, 三船温尚, 宮原晋一: "高鈴青銅鏡熱処理和凸面湾曲及其破裂状況"第6回中国少数民族科学技術国際会議論文集 寧夏大学. 1-7 (2002)
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[Publications] 何堂坤, 李寿康: "銅鏡表面的銅皮附着層及其科学考察"中原文物. 第1期. 64-69 (2003)