2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510449
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫野 虔徳 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60039972)
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Keywords | 文献方言史 / 地方語文献第1種 / 地方語文献第2種 / 筆満可勢 / 日暮芥草 |
Research Abstract |
これまでいわゆる「中央語」の歴史に終始しがちであった日本語の歴史研究に中央語以外の地方のことばの歴史を取り入れる必要を説いて先に『文献方言史研究』(清文堂)にまとめた。この研究をさらに進めるために地方語の歴史を明らかにする上で有用な資料の発掘を各地ですすめた。国立国会図書館、国立公文書館等はもとよりであるが、国文学研究資料館、東大史料編纂所など各地の多くの資料の収集をすすめている機関がこの研究の大きな力になっている。『上井覚軒日記』『梅津政景日記』『桑名日記』等はそれぞれの分量が多く、解明には多くの時間が必要と思われるが、一見して有用な資料であることは疑う余地がない。これらは、私にいう「地方語文献第2種」(地方出身の記録者の言語が文章中に反映しているもの)で、利用価値は高いが、実際に手にしてはじめて確認できる資料で調査に困難が伴う。 『筆満可勢』は、日記であるが、記録者が書きとめた旅先での各地の方言記述に価値があり、新たに見出した『日本語俗言解』などと同様「地方語文献第1種」(地方語を記述した文献)に含めるべきであろう。『日暮芥草』もこれに属するが今回すべてデジタル映像化することができ、利用の便利が増した。 対馬における『交隣須知』の新たな発見、身延山調査など、多くの人を介して調査の便宜が得られそうなところまで交渉のすすんでいるものもあり、できるだけ早い実現を望んでいる。
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Research Products
(2 results)