2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510449
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫野 虔徳 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60039972)
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Keywords | 崎門 / 文献方言史 / おもろさうし / 交隣須知 / 琉球 / 新発田藩 / 対馬藩 / 九州方言 |
Research Abstract |
新潟県新発田市の崎門関係資料をはじめ方言史研究に資し得る一次文献を相当量収拾することができた。なおまだ十分精査を終えていないが、カ・タ行有声化、動詞活用の一段化など江戸時代の地方の話し言葉の実態をうかがわせる現象があちこちに見えており、分析を急ぎたいと思っている。今回の調査で特に有益と思われたのは、沖縄のおもろさうしや碑文などの調査が進んで新しい展望を予感するようになったことである。沖縄資料の調査分析を進めていくうちに、沖縄から西南九州を経て対馬に至る連続した言語圏を想定した方がよいと強く実感するようになった。特に動詞活用の点からであるが、以前から調査をすすめていた対馬の『交隣須知』などの朝鮮語通辞のことばにいわゆる九州方言らしくない傾向が強く出ていてその理解に苦しんでいたのであるが、どうやらこれは対馬だけの傾向ではなく、16世紀前半の沖縄のことばにも観察されるということに気づくことができた。従来は、二段活用動詞の一段化という九州以外でも起きたかなり普遍的な現象の一つと理解されてきたフシがあるが、それとは別の現象と考えるべきで、両者は根は一つものとして通じているのではないかといまは考えている。そのように考えると、鹿児島の漂流民がロシア文字で書き残した江戸時代の薩摩方言の現象がこの中間的な状態を示しているようで、沖縄から九州西南部を経て対馬に至る地域が一つ特色でくくられるように思えてきた。この一年でこのことを見定めたいと思っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] SAKONO Fuminori: "Changes in Writing the Long sounds of the group O and those of the group U"Interaction and Transformations. Vol. 1. 99-108 (2003)
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[Publications] 迫野虔徳: "対馬歴史民俗資料館蔵『日暮芥草』について"宗家文庫資料の形成過程と保存に関する基礎的研究. 九州大学教育研究プログラム報告. 109-128 (2003)