2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510449
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
迫野 虔徳 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (60039972)
|
Keywords | 新発田藩 / 日暮芥草 / 交隣須知 / 二段活用の一段化 / 四段化 / 文献方言史 |
Research Abstract |
新潟県新発田市立図書館に所蔵されている江戸時代新発田藩の儒者達が残した講義ノート(写本)を数多く収集できた。清濁や母音表記などに東国的なまりが反映していて、江戸時代の新発田の方言状態をしる上で貴重である。いわゆる二段活用の一段化はもちろん、その一段化したものにさらに四段化の傾向も見える。動詞の一、二段活用の四段化は、現代の方言でも北陸・東北、それに九州、特にその西南部に著しい。江戸時代の九州方言についても、その傾向は、文献で確かめることができる。対馬の『交隣須知』に多くの一段化とともに四段化と思われる例がすでに見られる。江戸時代の対馬藩士の著した『日暮芥草』によって、対馬の現状を反映したものであることが明らかになった。対馬などの九州方言と新潟方言では、四段化に違いがあり、九州方言では、推量表現にも否定表現にも四段化が及ぶが、新潟では、否定表現には及ばない。このような面白い問題が見いだされる。九州西南部の四段化は、琉球方言に連続し、さらに時代的にも早く、しかも徹底したかたちで進行している。この実態を知るために『おもろさうし』の分析をはじめた。江戸時代以降に起こったと思われる動詞活用の動揺を文献方言史的に行うことの必要性を強く感じた。
|
Research Products
(3 results)