2003 Fiscal Year Annual Research Report
版本・錦絵・古文書に用いられた紙の材質に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14510481
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
青木 睦 国文学研究資料館, 史料館, 助教授 (00260000)
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Keywords | 史料学 / アーカイブズ / 紙質調査 / CCD顕微鏡 / C染色法 / 版本 / 錦絵 |
Research Abstract |
本研究の目的は、史・資料として遺された近世から近代にかけての版本・錦絵・古文書を対象に、材質および特性を明らかにして、科学的類別を行うことにある。 本研究は、史料として遺された紙資料群を対象に、材質および特性を明らかにして、科学的類別を行うことにある。そのため、顕微レンズを用いた測定装置(CCD拡大画像)により紙質測定の技術に関する研究、加えて、史料への影響を最小限にとどめた調査により、紙の特質をどこまで把握できるか、紙質画像を入力して比較する研究を継続して行った。昨年度は『手漉和紙』を標本として、各種の科学的調査と調査技術の検討を行ったが、今年度は実際の史料に用いられた資料の科学的類別のための調査を、下記の(1)(2)(3)を対象として開始した。 (1)版本の場合、実際的に江戸版の紙質を出版元や年代ごとに分析を行い、紙質の特徴を調査した。 (2)錦絵の場合、明和初年の錦絵期になると色版を摺り重ねるため、耐久性のある奉書紙を用いるようになる。錦絵に用いられた紙質を比較検討し、識別の指針となる紙質情報を調査した。 (3)古文書については、その原料、抄紙・色・用途・産地等によって、檀紙・奉書紙等々様々な名称が付されている。また、文書の発給者や使用者文書料紙の使い分けによるその相違は史料の発生と機能を研究する上で、重要な手掛かりとなるものである。各紙質についての分析を行い、版本・錦絵の紙質データと比較検討し、(1)〜(3)の紙質の特質を調査した。 調査内容は、史料を非破壊的に分析することを原則とし、劣化状態調査の作成、和紙原型寸法の計測から開始し、顕微レンズを用いた測定装置を用い、紙面を画像解析ソフトによって画像入力処理を試みた。画像を良質に取り込むため、繊維の長さや交差状態を観察の上、画像に入力し、「版本・錦絵・古文書の繊維表面サンプル」を作成するための手順を試行した。 科学的調査を調書としてまとめるため、データシートのフォームを整理し、パソコンを使用してデータを入力し、処理する作業を併せて継続した。本年度の成果は、測定結果から紙質の特定パターンを整理した「紙質類別基準試案上の検討を始めたところであり、以後データの累積と分析を実施していく。
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