2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520017
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Research Institution | Setsunan university |
Principal Investigator |
三成 美保 摂南大学, 法学部, 助教授 (60202347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 ひろみ 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (10179385)
村上 一博 明治大学, 法学部, 教授 (10212250)
石井 三記 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60176146)
三成 賢次 大阪大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90181932)
白石 玲子 神戸市看護大学, 助教授 (10295769)
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Keywords | シェンダー / 近代法 / 法制史 / 家族法 / 刑事法 / 労働法 / 民法 / 比較法 |
Research Abstract |
平成15年度は、研究計画にもとづき、昨年度おこなった共同研究の成果を学会で公表し、公表成果を公刊する方向で研究を深めた。わが国では、憲法・家族法・刑事法・労働法などいくつかの実定法分野でジェンダー法学研究が進められつつあり、歴史学でも従来の考察枠組みを根本的に見直す成果があげられるようになっている。しかしながら、ジェンダー法学・歴史学研究の進展に対応するような本格的ジェンダー研究は法史学ではまだほとんどなされておらず、問題関心も共有されていない。このような状況にかんがみ、法制史学会第55回総会(平成15年4月26日)のシンポジウム「ジェンダーの法史学--近代法の再定位・再考」において、共同研究の成果を公表した。本シンポジウムの目的は、わが国の法文化とジェンダー秩序との相互関係を歴史的に検討することにあり、そのために実定法・歴史学との連携をはかった。また、シンポジウムに関連してアメリカからジェンダー研究の実績をあげている中国史研究者を招聘し、報告(「清代の法におけるジェンダー構造」)をおこなってもらうとともに、準備研究会において大いに意見交換することができた。シンポジウムでは、趣旨説明のあと4報告をおこなった。(1)「近代市民法とジェンダー秩序」(民法学)、(2)「近代日本の家族法制とジェンダー:親権概念の形成」(日本近代法史)、(3)「近世日本の刑事法制とジェンダー:私的刑罰権および刑事裁判にみる性差」(日本近世史)、(4)「近代ドイツの労働法制とジェンダー:女性労働者の制度的権利保護」(西洋近代法史)である。総論・家族法・刑事法・労働法の各分野にまたがって広く問題提起をしたあと、日本・西洋・東洋法史からコメントをもらい、総括後に全体討論をおこなった。フロアの関心は高く、議論も盛り上がった。シンポジウム後は、各研究を深化させており、本研究成果報告書をもとに研究成果の公刊を予定している。
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[Publications] 村上 一博: "草創期明治法律学校の法律家群像"明大社研紀要. 42-1. 69-113 (2003)
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[Publications] 村上 一博: "明治大学法学部機関誌の沿革(3)"法律論叢. 76-1. 251-294 (2003)
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[Publications] 村上 一博: "明治法律学校と私仏法律学校による著名な旧民法施行断行論"法律論叢. 76-2=3. (2004)
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[Publications] 松本 尚子: "ホイマン『ドイツ・ポリツァイ法事始』と近世末期の諸国家学-ドイツ近代行政法学史の序論として(1)-"上智法学論集. 47-3. (2004)
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[Publications] 田中真砂子, 白石玲子, 三成美保編著: "国民国家と家族・個人"早稲田大学出版部. 300 (2004)
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[Publications] 曽根ひろみ(共著): "宮津市史・通史編一"(2004)
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[Publications] 曽根ひろみ(共著): "沼津市史・史料編三"(2003)
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[Publications] 白石玲子: "夫婦別姓を生きる:ジェンダーで読みとく家族の法"フォーラム・A. (2003)
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[Publications] 白石玲子, 村上一博他著(石川一三夫・中尾敏充・矢野達雄編): "日本近代法制史研究の現状と課題"弘文堂. (2003)
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[Publications] 村上 一博他共著(憲法研究所編): "日本国憲法のすすめ-視角と争点"法律文化社. (2003)