2003 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋諸国の行政改革と地方分権 中央-地方の政府間関係を中心として
Project/Area Number |
14520100
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
薮野 祐三 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (10047730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出水 薫 九州大学, 大学院・法学研究院, 助教授 (20294861)
石川 捷治 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (30047740)
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Keywords | 地方分権 / 政治改革 / 開発独裁 / 国家建設 / 自治体建設 / 民主主義 / アジア太平洋 / 行政改革 |
Research Abstract |
アジア太平洋地域は、1980年代以降、目覚しい経済開発を経験し、その結果、国家としての自立をきわめて堅固なものとした。しかしこの間、経済発展に見合う政治改革は遅れたままの状態になっている。1980年代のアジア太平洋地域では、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどの国々に見られるように、開発独裁システムを維持したために、経済の民主化と政治の独裁化という矛盾現象が一般的であった。 しかし1990年代以降になると、これらの国々もまた、民主化運動にさらされるようになった。インドネシアの民主化問題、タイの中央集権問題など、多くの政治改革を必要とする状況に直面し始めた。その中でも、とりわけ重要な問題は、自治体建設だといえる。道路、港湾、橋梁といった大型プロジェクトは1980年代の様々な政策で一応の完成をみたものの、それに見合う基礎自治体の建設にきわめて遅れを示している。 基礎自治体は、日本でも知られているように、初等教育、上下水道、公衆衛生など、住民にとって不可欠な公的サービスを提供することを、その第1の目的としている。その意味では、国家建設の時代から自治体建設の時代に入っているといえる。 政治改革、民主化問題などは、やや抽象的な、そして政治的イデオロギー的な政策課題をイメージさせるが、実際、アジア太平洋地域で必要とされている改革は、典型的に地方分権制度の確立だといえよう。 ただ、アジア太平洋の国々でも、自治制度の仕組みはそれぞれに異なっている。マレーシアは連邦制であり、シンガポールは都市国家である。にも拘わらず、これらの国家においても、基礎自治体の建設と、それを機軸とした住民生活の安定を摸索し、その可能性を開くことが求められ始めている。
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[Publications] 藪野祐三: "ローカル・イニシアティブの構造(2)"法政研究. 70巻1号. 153-180 (2003)
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[Publications] 藪野祐三: "ローカル・イニシアティブの構造(3)"法政研究. 70巻2号. 69-94 (2003)
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[Publications] 藪野祐三: "ローカル・イニシアティブの構造(4)"法政研究. 70巻3号. 79-102 (2003)
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[Publications] 藪野祐三: "公的領域と私的領域の相克-21世紀型公私問題への視覚-"法政研究. 70巻4号. 173-192 (2004)
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[Publications] 藪野祐三: "ローカル・イニシアティブと平和主義の架橋"平和研究. 28号. 109-126 (2003)
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[Publications] 石川捷治: "社会主義者における『性』と政治"年報政治学2003. 2003年度版. 161-177 (2003)
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[Publications] 石川捷治, 平井一臣編: "終わらない20世紀-東アジア政治史"法律文化社. 290 (2003)