2003 Fiscal Year Annual Research Report
パルスマイクロ波を用いた過冷却の促進による食品の低損傷・凍結保存技術の開発
Project/Area Number |
14550175
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
多田 幸生 金沢大学, 工学部, 助教授 (20179708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百生 登 富山県立大学, 工学部, 助手 (80239590)
大西 元 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (80334762)
瀧本 昭 金沢大学, 工学部, 教授 (20019780)
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Keywords | 食品凍結 / マイクロ波 / 過冷却の促進 / 氷晶形成 / Cryo-SEM観察 / 凍結損傷 |
Research Abstract |
食品の凍結保存は,原理的には,低温化と活性水分の低減により生化学反応の抑制を図るものであるが,凍結の過程で細胞レベルでのミクロ現象が生じ,これが各種の機械的・膠質的損傷を発生させる.したがって,食品の品質(食味,テクスチャー)を損なわない効果的な冷却技術の開発が必須となる.本課題は以上の観点に立って進めるものであり,パルスマイクロ波の付与により凍結過程における過冷却現象の能動的促進を追究した.すなわち,マイクロ波照射により,極性分子である水分子の回転運動を励起し,それにより水素結合しているクラスターを解離させ,過冷却の促進を実現しようとするものである.最終的には,食品全域を過冷却状態から瞬時に凍結させる方式の開発を目指すものである.本研究で得られた主な成果は以下のとおりである. 1.試験セル,液体窒素を封入した冷却部,パルスマイクロ波発生装置,熱電対を用いた温度測定系からなる装置が製作された. 2.マイクロ波照射下でグリセロール水溶液の凍結実験を行い,マイクロ波は過冷却の促進と解除の2つの作用を内在する可能性があることが示された. 3.食品としてリンゴ組織体を供試した凍結実験を行い,凍結組織をCryo-SEM観察した結果,マイクロ波出力が大きくなるにつれて組織体表層部において氷晶径が減少することが見いだされた. 4.組織体内部ではマイクロ波による加熱効果などに起因する局所冷却速度の低下のため,氷晶径の微細化は難しく,適用サイズに制限があることが判った. 5.食品凍結において生ずる氷晶形成とミクロ挙動が3次元観察により明らかにされ,マクロ伝熱,ミクロ現象,凍結後の品質変化を連結した速度論モデルが構築され,凍結による品質変化の定量的予測が実現された.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 多田幸生: "マイクロ波を利用した過冷却の促進"第40回日本伝熱シンポジウム講演論文集. II. 545-546 (2003)
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[Publications] 多田幸生: "外部氷晶の植氷作用に対する細胞膜のバリヤー能に関する研究"日本機械学会2003年度年次大会講演論文集. VII. 49-50 (2003)
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[Publications] 多田幸生: "食品凍結における3次元ミクロ構造と損傷機序"第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (印刷中). (2004)