2003 Fiscal Year Annual Research Report
中世の武家住宅と上層民家の研究-掘立柱建物を中心に-
Project/Area Number |
14550641
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
藤田 盟児 広島国際大学, 社会環境科学部, 教授 (20249973)
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Keywords | 掘立柱建物 / 総柱型 / 方形居館 / 堀 / 武家住宅 / 在地領主 / 町場 / 鎌倉武士 |
Research Abstract |
今年度は、主として中世の代表的な住宅遺構に関係する発掘調査の現地調査を行った。その方法は、まず昨年度作成した大規模な住宅遺構を含む遺跡DB(262件)を分析して、その中から中世前期の住宅変化の画期と目される重要遺構を選別した。その結果、東北地方では鎌倉周辺の遺跡や、宮城県の仙台平野遺跡群、福島県の荒井猫田遺跡などを調査する必要性が確認された。また、九州地方では熊本県の灰塚遺跡と二本木前遺跡、大分県の大友氏関係遺跡などが、重要であることが判明した。そこで、これらの遺跡の現地調査を実施し、中世成立期の上層地方民家の動向を示唆する知見を得ようと考えた。8月から9月に、それら遺跡の現地の状況の確認と、発掘調査を担当した組織への訪問調査を通じ、遺跡の存続期間、構造の種別(掘立柱、礎石建、土台建て)、敷地規模、囲繞施設の種別、建物棟数、主要な柱間寸法、主屋の規模と形式、遺構の特色などを確認し、中世前期の方形居館の成立過程や、それに付随する町場の建築遺構の状況、鎌倉中期から増加してゆく礎石建の総柱型建物の状態などを把握した。ただし、これらのデータを入力中の9月、使用していたコンピューターのハードディスクがクラッシュしたために、それまでのデータ復旧と、新しいコンピューターの購入に費用を要したため、予定していた関係図書の購入範囲を縮小せざるをえなくなり、今年度の最終段階で国立国会図書館に出張し集中的に関係図書を補足調査する必要が生じた点が、当初予定とは異なる点である。現在、ここまでの知見をもとに論文を作成中で、今年度末に投稿を予定している。
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