2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂質抗酸化による食品劣化・生体老化防止に対する植物由来ポリフェノールの実用化
Project/Area Number |
14550740
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河野 恵宣 宮崎大学, 工学部, 教授 (10040974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩盛 弘一郎 宮崎大学, 工学部, 助教授 (80235506)
幡手 泰雄 鹿児島大学, 工学部, 教授 (00038051)
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Keywords | アスタキサンチン / βーカロテン / トコフェロール / 酸素吸収速度 / スクワレン / リノール酸 |
Research Abstract |
リノール酸の酸化反応について特に反応初期段階の速度機構を解析できる速度データを得るため、微少な過酸化物濃度測定が可能である反応装置を作成した。即ち、反応経過に伴う酸素の吸収速度を封入した酸素ガス圧力変化測定し、その値から脂質過酸化物濃度を求める。この測定法によって過酸化物濃度の0.2meq/kgの変化を測定でき反応初期の酸化挙動が明らかとなった。同時に、通常の酸素流通型反応器で採取したサンプルの分析によって生成物を定量的に分析する。両反応システムによって同一系の酸化反応速度を測定して両方の結果を考慮して解析する。 脂質の酸化は初期段階のラジカル生成反応とそれに続くラジカル連鎖反応で進行することは筆者らの今までの成果から明らかになっている。反応初期のラジカル生成の抑制にはラジカル発生抑制、酸素吸収剤よる活性酸素削減およびラジカル消滅反応が効果的である。反応後期のラジカル連鎖反応ではポリフェノール類等による水素供給原が効果的であると推測される。アスタキサンチン添加した場合、酸化反応速度は反応初期および後期ともに添加量の増加に伴って遅くなりリノール酸のラジカル化及び連鎖反応とも抑制されることがわかった。アスタキサンチンの持つ2個のフェノール基によるラジカル生成の抑制と不飽和結合種への酸素吸収の両面によってリノール酸の酸化を抑制したと考えられる。更に、抗酸化剤のマイクロカプセル化法について検討したので、その脂質抗酸化への応用を検討する。リノール酸にβーカロチンを添加した場合(実験-1)、酸素吸収速度は反応初期では添加量の多いほど酸素吸収速度が高くなるが、反応後期では添加量に関係なく酸素吸収速度はほぼ等しくなった。ラウリン酸メチル(飽和脂肪酸エステル)にβーカロテンを添加した場合(実験-2)、酸素吸収速度はβーカロテン添加量の増加に伴って増加した。その増加量は添加量の増加割合より大きくなった。(実験-1)における酸素吸収量から(実験-2)におけるβ-カロテンのみの酸素吸収量を差し引いたた値(リノール酸の正味の酸素吸収量を示す)と反応時間に対してプロットした場合、酸素吸収速度は量は反応初期においてはβーカロチン濃度とともに大きくなり、反応後期においてはβ-カロチン添加量に無関係となった。βーカロチンは不飽和脂肪族で、ポリフェノール基を有していないため、ラジカル反応抑制する抗酸化性は有していないと考えられる。これらの挙動に関する流通型反応器による反応成分解析は未実施であり平成16年度に継続検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Yoshida, E.Mardliati, Y.Kawano, Y.Hatate: "Structural control of core/shell polystyrene microcapsule-immobilized microbial cell and their application to polymeric microbioreactor"J.Appl.Polym.Sci. 89. 1996-1975 (2003)
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[Publications] 河野恵宣, 幡手泰雄: "マイクロカプセル粒子の生成とその機能性制御"粉体工学会誌. 40. 736-745 (2003)
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[Publications] K.Ko, K.Shiomori, Y.Kawano, Y.Hatate: "Oxidation and Antioxidation Kinetics of Linoleic Acid"The 16th Symp.Chem.Eng., Taejon/Chungnum-Kyushu. 16. 296-297 (2003)