2002 Fiscal Year Annual Research Report
ホスフィンを利用する三成分カップリングによるアミノ酸誘導体の合成
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14550812
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
太田 哲男 同志社大学, 工学部, 教授 (50213731)
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Keywords | γ-ケト-α-アミノ酸 / ホスフィン / アルデヒド / アセチレンカルボン酸エステル / フタルイミド / アミノ酸 |
Research Abstract |
アミノ酸は生理活性をもつ代表的な有機物であり、その効率の良い合成法の開発が望まれている。さらに、官能基を有するアミノ酸が容易に合成できれば、各種生理活性化合物合成の原料となることが期待される。アセチレンカルボン酸エステルはホスフィンとMichael型に反応して、α位のアニオンを発生する。そのアニオンがケトアルコールやケトアミンと反応して環状化合物を生成することは知られていたが、反応基質のケトン部位とアルコールもしくはアミノ部位が別々の化合物である場合の反応は、アミノ酸がone-potで得られるにもかかわらず、これまで知られていなかった。本研究では、ホスフィンを触媒に用いることによるプロピオール酸エステルとフタルイミド、アルデヒドからのγ位にカルボニル基を有するアミノ酸誘導体の合成に成功した。具体的には、プロピオール酸エチルと当モルのフタルイミド、30モル%のトリフェニルホスフィンをベンズアルデヒド溶媒中で加熱することにより、2-フタルイミドイル-4-オキソ-4-フェニルブタン酸エチルが82%の収率で得られた。本反応は、溶媒を用いると収率の低下が見られる。ホスフィンは当モル用いても良いが、触媒量で問題なく反応が進む。各種アルデヒド類が基質として使用できるが、脂肪族アルデヒドでは収率は余り高くない。反応に使用可能なアセチレンカルボン酸エステルとしては、プロピオール酸エステルが最も適しており、2-ブチン酸エステルや3-フェニルプロピオール酸エステルでは副反応が進行する。本反応ではケトアルコールやケトアミンの反応とは違って生成物にケトンが含まれる。これは、反応途中におけるイリドとカルボニル化合物の反応がWittigタイプでは進行していないことを示しており極めて興味深い結果と言える。今後、さらに本反応の適用限界、ならびに、様々な基質への展開を図って行く予定である。
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