2002 Fiscal Year Annual Research Report
液体培養下で単離地衣菌が生産する代謝物から地衣類の乾燥適応システムを解明する
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14560089
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Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
濱田 信夫 大阪市立環境科学研究所, 大気環境課, 研究主任 (40270764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 恒 京都大学, 農学部, 教授 (10219735)
宮脇 博巳 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70190824)
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Keywords | 地衣類 / 藻類 / 地衣菌 / 共生 / 単離培養 / 液体培養 |
Research Abstract |
地衣菌は通常浸透圧条件下ばかりでなく、乾燥した環境=高浸透圧条件下でも生育するために、二次代謝産物の生産メカニズムが重要な役割を果たしているとの仮説を立てて、実験を行っている。Caloplaca(ダイダイゴケ)属、Graphis属、Lecanora属を実験材料として用いている。これらでは、高浸透圧条件下で代謝物が高頻度で検出される。 液体培地では、菌体の生育は通常の寒天培地に比して速く、乾重量で2倍以上になった。通常の真菌用培地上より浸透圧を高めた寒天培地上では、地衣菌の生育が、乾重量で約4倍以上になるのと現象としては一致した。そして、高浸透圧の条件下、地衣菌は寒天培地でも液体培地でも同じ二次代謝物を生産した。一方、通常浸透圧条件下では寒天培地上で二次代謝物生産が見られないGraphis属、Lecanora属地衣菌でも、液体培地に移すと活発に二次代謝物を生産することがあった。それらの代謝物は高浸透圧寒天培地上で生産されるものと全く異なる構造を持っていた。しかし、菌体が完全に液体培地中に埋没していると、菌体が空気に十分触れる状態に比して、極少量しか生産されなかった。それらの結果から、地衣菌の二次代謝には環境の水分活性が大きく影響を与えると考えた。また、高浸透圧下と通常浸透圧下で蓄積する代謝物が異なるのは、本来乾燥条件下で生育するための適応システムである地衣菌の二次代謝スイッチが、浸透圧の変化に対応して切り替えられるためと思われる。今後、この切り換えメカニズムについて、解明をしたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takenaka Y., Tanahashi, T., Nagakura N.Hamada N.: "Production of anthraquinones by the cultured mycobiionts of Xanthoria polycarpa and X. elegans"Lichenologist. 1.1. 7-10 (2002)
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[Publications] Tanahashi T., Takenaka Y., Nagakura, N., Hamada N.: "6H-Dibenzopyran-6-one derivatives from the cultured lichen myocobiots of Graphis spp And their biosynthetic origin"Phytochemistry. 62.1. 71-75 (2003)