2002 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンCの抗酸化機能と生理機能との統合的解析をめざして
Project/Area Number |
14560093
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
倉田 忠男 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (60011920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 恵美子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (80154524)
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Keywords | ビタミンC / 抗酸化機能 / 1重項酸素 / 生理機能 / 分子軌道法 / アスコルビン酸 / 水溶性微量栄養素 / 電子供与過程 |
Research Abstract |
抗壊血病因子として知られるビタミンC、すなわちL-アスコルビン酸(L-Ascorbic Acid,以下AsAと省略)は人間に必須の微量栄養素で、コラーゲンの生合成、芳香族アミノ酸代謝・脂質代謝や免疫能・細胞増殖作用の賦活化等々の重要な生理作用に関与しているが、これらAsA分子の有する生理機能の詳細については、生理機能の発現過程におけるO_2^-の生成の有無も含めて、不明の点が多く残されている。本研究の目的は、これら不明の点を明らかにし、抗酸化機能と生理機能の統合的解析を進め、このビタミンの生体内における真の役割を解明する上で必要な基礎食品・栄養化学的データを得ることにある。本年度は、以下に示すように、主としてAsA等の抗酸化プロセスにおける電子供与過程につき多面的な解析を実施した。すなわち、AsA(L-xylo-AsA)とその関連物質、及びそれらの酸化型を合成し、さらに、これら一連の物質につき半経験的分子軌道法(主にMOPAC、拡張ヒュッケル法等)、非経験的分子軌道法(GAUSSIAN等)などにより、各分子の動的構造に関連する情報[最適化平衡構造、電子密度、双極子モーメント、3次元静電ポテンシャル、生成熱、各分子軌道の形状やエネルギー等々]を求めた後、溶媒効果等も含めた動的構造の予測を行い、その適否につき主として^<13>C-NMR等の分光学的測定データとの比較検討により評価を試みた。また、重金属イオンの共存及び非共存下におけるAsA及びその関連物質について、酸素分子(3重項及び1重項)との反応過程、及びO_2^-の生成過程を計算化学的に追跡すると共に、実験化学的にそれらの自動酸化反応速度の測定、反応生成物の確認・定量を行った。さらに、次年度に実施予定の、動物実験、培養細胞実験等の実験条件設定に向けて必要な予備実験を実施した。
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