2002 Fiscal Year Annual Research Report
ABCたんぱく質によるステロールの吸収・代謝の調節に関する研究
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14560102
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 郁男 九州大学, 農学研究院, 助教授 (40136544)
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Keywords | 植物ステロール / ABCG5 / ABCG8 / SHRSPラット / 高植物ステロール血症 / WKYラット / コレステロール / 吸収 |
Research Abstract |
植物ステロールは小腸でのコレステロール吸収を阻害し、血漿コレステロール低下作用を示すことからすでに機能性食品素材として利用されている。ヒトや実験動物では植物ステロールはコレステロールに比較し極めて吸収率が低いことが知られている。遺伝的に植物ステロール吸収の高いヒト(高植物ステロール血症)ではABCたんぱく質G5およびG8の遺伝子変異が報告されているが、これらたんぱく質の機能については、ほとんど理解されていない。高植物ステロール血症は極めて稀な疾患であるためヒトでの研究は困難である。我々は、WKY, SHRおよびSHRSPラットが一般的なラットに比較して、体内に多量の植物ステロールを蓄積することを見いだした。さらに、この蓄積は、小腸からの植物ステロールの吸収の増加および肝臓からの胆汁への排泄の低下に起因していることが明らかとなった。この現象は、高植物ステロール血症に類似している。そこで、植物ステロール吸収の高いWKYおよびSHRSPラットと吸収の低いWistarおよびWKAラットを選び、ABCG5およびABCG8のクローニングを行い、遺伝子配列を決定した。その結果、WKYおよびSHRSPラットでは、WKAおよびWistarラットに比べ、ABCG5に一ヶ所のアミノ酸変異が存在することを突き止めた。なお、ABCG8には変異は見いだせなかった。また、各種臓器でのこれらABCたんぱく質の発現を調べたところ、実質的に、小腸および肝臓にしか発現していないことが明らかとなった。現在、ABCG5およびG8の発現が、食事コレステロールや植物ステロールの摂取により変化するかをWKY, SHRSP, WistarおよびWKAラットを用いて検討中である。
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