2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14560133
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 浩之 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50210555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 和彦 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80222256)
吉田 正人 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助手 (30242845)
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Keywords | 広葉樹 / あて材 / 二次木部細胞壁 / ヘミセルロース / バイオメカニックス / マイクロメカニックス / セルロース / リグニン |
Research Abstract |
(1)G層の端離収集に関する試験 本年度は、G層を引張あて材プレパラート片から分離収集し、その成分、結晶、水分吸着特性を検討した.昨年度行なった予備試験では,プレパラートから単離したフラグメントに,破砕した二次壁、道管要素壁、あるいは穿孔板と思われる塵状のフラグメントが混在しやすいことが分かったが,今年はその問題の解決に取り組んだ.クヌギあて材試料を用いた試行錯誤の結果,G層の単離収集に用いるプレパラートとしては厚さ30μmの横断切片が、適当であり,一旦室温で乾燥の後,氷冷エタノール中で超音波処理を1時間(〜1.5時間)施すことによって,G層純度の高い単離物が得られることがわかった.さらにG層と夾雑物との密度差を利用して,G層フラグメントの純度を高められることをも確かめた. (2)G層の理化学的性質に関する実証研究 単離したG層をペレット状に成型し,その成分、結晶、水分吸着特性を検討した.各種の相対湿度雰囲気下でペレットを調湿し,エックス線回折特性を調べた.その結果,G層は典型的なセルロースIのエックス線回折パターンを示し,その結晶化度は標準比較試料として広く用いられているAvicell(コットンより調整)よりも高いことがわかった.また,結晶化度,結晶サイズとも含水率(および雰囲気湿度)にはほとんど影響されないことも確かめられた. グリセリン中にG層フラグメントを分散させ,紫外線吸収特性(スペクトル200〜400nm)を調べた.その結果,リグニンに由来すると思われるピークはまったく存在しなかったこと,しかしながら短波長域では,波長低下とともにブロードに増加する傾向が見られたことから,微量ではあるが,セルロース以外の物質の存在が窺われた.精密な糖分析,リグニン分析は現在も継続中である.
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