2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリヒナの脳内におけるアミノ酸による摂食調節機構の解明
Project/Area Number |
14560250
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
豊後 貴嗣 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40325361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
上田 博史 愛媛大学, 農学部, 教授 (30116884)
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Keywords | 摂食行動 / 摂食障害 / アミノ酸 / 代謝産物 / 中枢 / 神経伝達物質 / 神経調節物質 / ニワトリヒナ |
Research Abstract |
アミノ酸アンバランス飼料を摂取したニワトリヒナは、摂食量の低下とともに成長が阻害されるが、その機構について、特にその調節における脳の役割を明らかにすることを目的とし、アミノ酸過剰飼料給与時に認められる摂食抑制と側脳室内投与実験を比較した。 フェニルアラニン、トリプトファンあるいはスレオニン過剰飼料を給与したヒナの摂食量は低下した。同様に中枢投与実験においてもその摂食量は抑制されることが示された。したがって、これらのアミノ酸過剰飼料摂取による摂食量の低下には中枢の関与が考えられた。しかし、毒性の強いメチオニン過剰飼料では急激な摂食抑制が示されるにも関わらず、その中枢投与では摂食量の亢進が認められた。同様にロイシンの中枢投与において摂食亢進作用が示され、アミノ酸過剰飼料による摂食抑制作用には末梢性のものがあることが示唆された。中枢における摂食調節機構において、ロイシンの場合、その代謝産物のグルタミン酸がその摂食亢進作用に働いていること、リジンではピペコリン酸がγ-アミノ酪酸作動性ニューロンを介して摂食抑制作用を示すことが考えられた。一方、メチオニンの場合、その代謝産物では同様の作用が認められなかったことから、メチオニン自体が神経調節物質としては働いている可能性が考えられた。 神経伝達物質として知られているグルタミン酸、γ-アミノ酪酸あるいはグリシンは、ニワトリヒナの場合も哺乳類と同様にそれぞれの作動性ニューロンに作用し、摂食調節機構に関与していることが示唆されたが、γ-アミノ酪酸では産卵鶏とブロイラーではその反応が異なる結果が得られたことから両系統間で摂食調節機構に若干の違いがあることが考えられた。 以上の結果から、アミノ酸過剰飼料による摂食抑制作用は、アミノ酸の代謝産物あるいはそれに関連した物質の動態など代謝的要因が関与していること、また中枢性のものと末梢性のものとがあること、さらに産卵鶏とブロイラーでは感受性が異なることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Bungo, T., (他5名): "Intracerebroventricular injection of muscimol, baclofen or nipecotic acid stimulates food intake of layer-type, but not meat-type chicks."Brain Research. 993. 235-238 (2003)
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[Publications] Takagi, T., Bungo, T., (他7名): "Intracerebroventricular administration of GABA-A and GABA-B receptor antagonists attenuate feeding and sleeping-like behavior induced by L-pipecolic acid in neonatal chicks."Journal of Neuroscience Research. 73. 270-275 (2003)
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[Publications] Izumi, T., Kawamura K, Ueda J., Bungo, T.: "Central administration of leucine but not isoleucine and valine, stimulates feeding behavior in neonatal chicks."Neuroscience Letters. 354. 166-168 (2004)