難治性大腸炎モデルのアポトーシス機構異常に関わる分子病態解明と治療薬の探索

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14570193
• Research Institution: Nagasaki University
• Principal Investigator: 七條 和子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90136656)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 関根 一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60039922)
• Keywords: 放射線腸炎 / 酢酸胃潰瘍 / アポトーシス / インターロイキン-11 / ケフィア / マクロファージ

Research Abstract

本研究の目的は、難治性大腸炎実験モデルの分子病態を解明し、その発症機序にかなった新規治療薬を探索することである。特にアポトーシス分子機構に注目して、1)潰瘍性大腸炎、および2)放射腺誘発大腸炎の発症機序を検討し、免疫系及び造血系に作用する液性因子としてクローニングされたサイトカイン、インターロイキン-11を始めとした種々の治療薬について有効性を評価する。
研究実績として、1)大腸粘膜上皮内アポトーシスを評価するために低線量X線(0.25,0.5,1.0,2.0,4.0 Gy)全身照射を行った。
2)放射線大腸炎モデルとしてラット大腸に開腹下にX線(22.5Gy)骨盤内限局照射を行った。
3)一方、難治性胃潰瘍モデルとして酢酸胃潰瘍を作成し、潰瘍の進展と治癒過程についても検討した。
4)分子病理学的検討として
i)粘膜上皮の傷害、潰瘍、組織学的進達度についてgrade化し評価した。
ii)大腸粘膜上皮内アポトーシスの出現について、TUNEL法(Apop Tag法)を行い、画像処理装置でその局在と数量的評価をした。
iii)酵素抗体法caspase-3,PCNA,ED1,Tie-2,angiopoietin-1 and -2発現について免疫染色、Western blott法、RT-PCR等を行った。
以上について放射線大腸炎モデルでは活性化マクロファージの発現が増加すること、さらに、ケフィアは放射線誘発アポトーシス抑制効果を有し、大腸stem cellを保護することが明らかになった。インターロイキン-11投与群及び対照群について検討した結果、酢酸潰瘍の進展、治癒過程においてインターロイキン-11はTie-2の発現を増加させ、血管新生を介した有効性を確認した。

Research Products

• [Publications] Shichijo K, Ihara M, Matsuu M, Ito M, Okumura Y, Sekine I: "Overexpression of heat shock protein 70 in stomach of stress-induced gastric ulcer-resistant rats"Digestive Disease and Science. 48(2). 340-348 (2003)
• [Publications] Wen CY, Ito M, Wang H, Chen LD, Xu ZM, Matsuu M, Shichijo K et al.: "IL-11 up-regulates Tie-2 expression during the healing of gastric ulcers in rats"World Journal of Gastroenterology. 9(4). 788-790 (2003)
• [Publications] Wen CY, Ito M, Chen LD, Matsuu M, Shichijo K et al.: "Expression of Tie-2 and angiopoietin-1 and -2 in early phase of ulcer healing"J Gastroenterology. 38. 431-435 (2003)
• [Publications] Matsuu M, Schichijo K, Okaiti K, Wen CY, Fukuda E et al.: "The protective effect of fermented milk kefir on radiation-induced apoptosis in colonic crypt cells of rats"J Radiat Res. 44. 111-115 (2003)
• [Publications] 新野大介, 関根一郎, 七條和子, 松鵜睦, 中山敏幸, 中島正洋, 朝長万左雄: "同種造血幹細胞移植における皮膚GVHDの免疫組織学的検討"長崎医学会雑誌. 78(2). 50-54 (2003)
• [Publications] 唯見徳馬, 七條和子, 松鵜睦, 新野大介, 中山敏幸, 中島正洋, 関根一郎: "ラット急性放射線性腸炎モデルにおけるマクロファージの発現"長崎医学会雑誌. 78(2). 47-49 (2003)
• [Publications] 温春陽, 伊東正博, 王揮, 陳隆典, 徐肇敏, 松鵜睦, 七條和子, 中山敏幸他: "潰瘍治癒過程におけるIL-11によるTie-2発現の検討"Ulcer Research. 30(2). 150-151 (2003)
• [Publications] 七條和子, 井原誠, 松鵜睦, 伊東正博, 温春陽, 中山敏幸, 奥村寛, 関根一郎: "ラットストレス胃潰瘍発生におけるheat shock proteinの役割:胃粘液との関係"Ulcer Research. 30(2). 162-163 (2003)