2003 Fiscal Year Annual Research Report
印刷用トナー粒子の吸入が人体に及ぼす影響に関する疫学的研究
Project/Area Number |
14570306
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中館 俊夫 昭和大学, 医学部, 教授 (60155760)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 知永子 昭和大学, 医学部, 助手 (50276557)
山野 優子 昭和大学, 医学部, 講師 (30167580)
高橋 英孝 昭和大学, 医学部, 講師 (70271369)
|
Keywords | 印刷用トナー / じん肺 / 肺機能 / 呼吸器症状 / バイオマーカー / 肺磁界 / 疫学 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、トナー取り扱い作業者の健康調査と、曝露調査を継続実施した。調査対象は、昨年度の調査対象である約700名(コントロール含む)に加えて、年齢の不均衡を補正するために若干の追加を行い、総計約800名を対象とした、調査実施の際の問診時に、各対象者毎に本研究に関する説明を行い、書面によるインフォームドコンセントを得て調査を実施した。 調査の項目は下記の通りである。 1.医学検査 (1)問診・質間票調査:業務歴、曝露歴、既往歴、現病歴、呼吸器症状、その他(標準化質問票を用いた面接・問診)。(2)胸部レントゲン直接撮影。(3)肺機能検査:最大努力性呼出、フローボリウム曲線検査。(4)血液・尿検査:血清サイトカイン量(IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IFN-γ)、酸化ストレス関連マーカー(8-OHdG、SOD)、および一般臨床検査項目(肝機能、腎機能、脂質等)。 2.環境測定 (1)作業環境測定(各単位作業所毎に実施)。(2)個人曝露量測定(単位作業毎に、対象者のおよそ1/10を抽出して実施)。 また本年度は昨年開発した携帯型肺磁界測定器を用いた測定を試みたが、一般的な一成分系トナーの磁化強度が予想を下回り(溶接ヒュームの13%程度)、このままでは曝露量からみて、現場での測定上の感度がやや不足するため、装置のさらなる改良を行った。 2年間の結果を総合すると、トナー粉じん曝露が肺の線維化病変形成リスクを増大させることを示す一貫した結果は得られなかった。しかし一部の慢性症状や機能検査項目では曝露指標による有意な差が認められる区分があり、縦断的手法を用いて検討を継続していく必要性が示唆された。
|