2002 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧性心疾患における脈管作動物質と細胞内情報伝達系の役割の解明
Project/Area Number |
14570691
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
松岡 博昭 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20111544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
錦見 俊雄 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (80291946)
石光 俊彦 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (80232346)
小林 直彦 獨協医科大学, 医学部, 講師 (90254945)
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Keywords | 高血圧性心肥大 / 高血圧性心不全 / DOCA食塩高血圧ラット / Dahl食塩感受性ラット / 心筋リモデリング / セリプロロール / アミノグアニジン |
Research Abstract |
低レニン性高血圧心肥大モデルとしてDOCA食塩高血圧ラットを作成し、高血圧性心不全モデルとしてDahl食塩感受性ラットを用いて研究を行い、以下の様な成績を得た。 1.DOCA食塩高血圧ラットの心筋ではリモデリング(微小血管の内膜肥厚と血管周囲の線維化)がみられた。これら心筋においてはプレプロEt-1、ETA受容体、TGF-β1、c-fosおよびタイプ1コラーゲンの発現が増強し、またERK活性も亢進しており、これらの局所因子が高血圧性心筋障害に関与していることが示された。一方、DOCA食塩高血圧ラットに弱いβ2受容体アゴニスト作用を示す選択的β1遮断薬であるセリプロロールを5週間にわたり投与するとセリプロロールは心筋局所の諸因子を抑制すると共に心筋リモデリングも改善した。従ってセリプロロールの心臓保護作用には一部ET-1とTGF-β1の抑制によることが示唆された。 2.Dahl食塩感受性高血圧ラット(DSH)に8%の高食塩食を投与して心不全を呈するに至った18週令のラット(DSHF)心筋では心筋リモデリング(心筋の線維化と血管周囲の線維化)を認め、心筋収縮力が低下している。これらの心筋ではiNOSの発現増強とERK活性の亢進が認められるがDSHに11週令から18週令までiNOSの選択的阻害薬であるアミノグアジニン(AG)を投与すると心筋リモデリングの改善と心筋収縮力の増強、iNOSとERK活性が抑制された。従って、iNOS阻害薬であるAGは心筋リモデリングや心不全の治療薬としての可能性が示唆された。さらに、同様のDSHFではRhoA蛋白やRho-kinase遺伝子発現や軽鎖リン酸化が亢進しており、特異的Rho-kinase阻害薬であるY-27632を11週令から18週令まで投与すると心筋リモデリングと心筋収縮カは改善し、Rho-Rho-kinase系の亢進や軽鎖リン酸化の亢進は抑制された。しかしながら、Y-27632はERK活性やp70S6 kinaseリン酸化には影響を与えなかった。従って、心不全においてはRho-Rho-kinase系とERK-p70S6 kinase系はそれぞれ別個に亢進していることが示されると共に、Rho-kinase経路の抑制が心不全の改善に関与していることが示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kobayashi N: "Aminoguanidine inhibits mitogen-activated protein kinase and improves cardiac performance and cardiovascular remodeling in failing hearts of salt-sensitive hypertensive rats"Journal of Hypertension. 20・12. 2475-2485 (2002)
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[Publications] Kobayashi N: "Critical role of Rho-kinase pathway for cardiac performance and remodeling in failing rat hearts"Cardiovascular Research. 55・4. 757-767 (2002)
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[Publications] Tsubokou Y: "Celiprolol inhibits mitogen-activated protein kinase and endothelin-1 and transforming growth factor-beta(1) gene in rats"European Journal of Pharmacology. 457・2-3. 85-93 (2002)